引っ越し当日の作業や手続きの流れとよくある失敗例

荷造りや手続きで忙しすぎて、引っ越し当日には疲弊してしまう人も多いのか、何かと失敗も起こりがちです。とにかく荷物が無事に運び出せるかどうかが最大のヤマ場です。

新居に運んでしまえばこっちのもので、荷解きも手続きも自分のペースで行なえるため、気分的には随分ラクになります。引っ越し当日にやることや心得、慣れないために失敗しがちな例などを紹介します。

引っ越し当日の流れ

朝一番にトラックが着いて作業を始める場合、午後からの2便目になる場合、それぞれに状況は異なりますがやるべきことは同じです。引っ越し当日の一連の流れをまとめましたので参考にしてください。

起床、身支度

引っ越しトラックが到着していざ引っ越しが始まったら、落ち着いて座っているわけにはいきません。その前に、洗面と着替えをすませ、次の食事時間が少しずれ込んで遅くなっても良いように、しっかりと食事をとっておきましょう。小腹が空いたときのために、常温で保管できる軽食があれば安心ですね。

寝具は広げて湿気を飛ばしてから畳んでおきます。布団袋が事前に貸し出されていれば、上からすっぽりと覆うようにかぶせてから、ひっくり返すと簡単です。
最終的に使った食器や調理道具、カーテンや日用品など、出発までに使わないものをすべて荷造りします。

荷物の最終チェック

ベランダの物干し竿やサンダルなども忘れやすいものです。裏庭の物置やストッカーなども漏れがないよう気をつけましょう。マンションやアパートで駐輪場が離れていると自転車も気づきにくいものです。個人情報漏洩防止のためにも、玄関ドアの郵便受けや、集合ポストの郵便物なども必ず取り出しておきましょう。

公共料金の手続き

引っ越し前に立ち会い精算を希望した場合は、現金を用意しておきます。プロパンガスなどで使用開始時に保証金を預けていた場合は、預り証と印鑑を手元に用意しておきます。口座自動引き落とし、金融機関やコンビニ送金なら、基本的に立ち会いは不要です。

トラックが到着してから

朝一番から始まる引っ越しは、たいてい時間前に道路にトラックが到着します。時間通りに玄関チャイムが鳴りますが、すでに身支度が終わって時間前に作業開始できるようなら、待機しているスタッフにひと声かけても良いでしょう。早く始めれば早く終わります。

玄関先でリーダーが挨拶をして、スタッフの紹介や作業の流れをひと通り説明したら、いよいよ作業開始です。

家具をどかしたあとのホコリや汚れが気になるので、掃除機やホウキ、ぞうきんやハンディモップなどを用意しておきましょう。家具や電化製品の裏のホコリを、スタッフが拭いてくれるためぞうきんが必要になることもありますので、多めに用意しておくと良いでしょう。

小さな子どもがいる家庭は興奮してはしゃいでしまうこともありますが、くれぐれも引っ越しの作業の邪魔にならないようにしましょう。大きな家具を運んでいると視界が狭く、近くに子どもがいても気づかないことがあり、万一のケガなどを防ぐためです。

掃除

搬出の邪魔にならないようなら最終的に部屋の状態をチェックし、掃除機をかけたり、汚れがあれば拭き取ったりしておきましょう。賃貸なら出て行った後の部屋の印象で敷金返還額に影響があるかもしれません。退居当日に不動産屋との立ち会い確認を予定しているならなおさらです。

引っ越しが近隣だったり、契約解除日がまだ先なら、後日ゆっくりと掃除しても良いですね。使い捨ての清掃用品は置いておくと良いでしょう。

荷物搬出後の確認

引っ越し業者のリーダー立ち会いのもと、忘れ物がないか隅々までチェックをします。薄暗い時間や曇天では、収納スペースの奥まで見渡すのが難しいこともあります。

夜間なら、業者側で懐中電灯を貸してくれますが、光が弱いこともあるため、災害用など光量の強い懐中電灯があるなら手元に準備しておくと良いですよ。新居の到着が遅い時間になるなら、そちらでも便利に活用できます。

荷物の積み残しがないか、ゴミなどの残置物がないか、すべてを確認して問題なければ業者の確認書類にサインをします。引っ越し業者により、この時点で引っ越し料金の精算をすませることがあります。

実際、国土交通省の定める標準引越運送約款でも、「運賃等の収受」 第十九条において、

「荷物を受け取るときに見積書に記載された支払方法により、 荷送人から運賃等を収受します」

引用元:標準引越運送約款「運賃等の収受」 第十九条

と記載があります。

これとは別に、すべての作業が完了してから精算する業者もあります。いずれにしろ、現金精算をするなら多額の現金を用意することになりますので、大勢の人が出入りするため盗難や紛失がないように貴重品や現金はしっかりと管理しておきましょう。

鍵の返却

不動産屋に立ち寄るか、不動産屋との立ち会い確認時に、入居時に預かった鍵と複製した鍵のすべてを返却します。事前に、家族に渡した鍵のコピーもすべて回収しておきます。

お世話になった人たちへ挨拶

近所付き合いがあった人は、引っ越しトラックが出発すると、いよいよ退居かと近隣の人たちが見送りに出てくることがあります。最後の挨拶をすませ、新居に向かいましょう。マンションの管理人には退去後何らかの問い合わせがあるかもしれないため、連絡先は知らせておきます。

名残惜しく積もる話もあるでしょうが、急いでトラックを追いかけなければならないため早めに切り上げましょう。

新居の鍵の受け取り

できれば、引っ越しトラックが到着する前に不動産屋から鍵を受け取り、新居に先に着いていることが理想ですが、現地で少し待ってもらうくらいなら問題ありません。しかし、長時間待たせることになってしまっては車両留置料が生じてしまいますので気をつけましょう。

あるいは、家族が別々に時間差で移動するか、身内の誰かに立ち会ってもらえると安心です。その際は、事前に不動産屋に誰々が新居の鍵を受け取りに行くということを伝えておかなければなりません。鍵を受け取りに行く人には、念のため身分証明書を持参してもらいましょう。

新居に到着したら

雨戸や窓を開け空気を入れ替えましょう。騒音や防犯面が心配なら臨機応変に。荷造りの際にダンボールに通し番号と運び込む部屋の名前をわかりやすく書き、各部屋のドアに、部屋名を大きく書いた紙を貼っておくと、ダンボールに書いた運び先の部屋名を見て搬入スタッフが入れてくれるため間違いが減らせます。

また、家具の配置図を大きめにコピーしたものを貼っておくと設置作業がスムーズです。入居前の掃除ができなかった人は、搬入前にざっと掃除機がけやモップがけができると良いですね。即開封するダンボールから、掃除用具やトイレ用品や手拭きタオルなどを出してセットしましょう。

一戸建ての場合や玄関前の道幅が狭い場合、引っ越しトラックが道を塞ぎ通行や車の出し入れの際に迷惑をかけてしまうことがありますので、なるべく事前に近隣に一言挨拶しましょう。

荷物の搬入

家具の配置や家電の設置などで、相談や質問のためスタッフから声がかかります。必ず、声の届く範囲にいてください。引っ越しスタッフの作業の邪魔にならないところで、すぐ使うものから荷解きをします。とり急ぎ、紛失や盗難を防ぐために番号を振っておいたダンボールが揃っているかどうかをチェックしておきましょう。

壁や床に搬入のときに付けたキズなどがないかも、いち早く気付いた方がその場でスタッフと確認できるため面倒がありません。女性の一人暮らしの場合は、真っ先にレースのカーテンを吊るして外から覗かれないようにしましょう。

ガスの開栓作業の立会い

事前に予約を取ったガス会社の担当者との間でガス機器の安全確認をしなければ、ガスは使えません。ガスには都市ガスでも何種類かのタイプがあり、使用するガスに適応した機器でなければ故障の原因になったり、安全性の問題が生じます。

確実に接続して安心してガス機器が使えるように、立ち会いで確認するのは住人の義務です。約束した時間までにガスコンロやガスストーブなどのガス機器は荷解きしてすぐ接続できるように出しておきましょう。

荷物搬入後

トラックの荷台からすべての荷物が降ろされた後に、降ろし忘れた荷物が残っていないか、
リーダーと荷主でトラックの荷台の確認作業を行います。問題がなければ確認書類にサインをし、引っ越し料金の精算があればここで支払います。

業者によっては、この前後に10分間サービスなどで手伝ってほしいことを頼むことができます。とっさの場面では何も思いつかず、あとでこうしてもらえば良かったと後悔する人もいますので、事前にいくつか考えておくと良いですよ。

近隣への挨拶

高齢者世帯では、早めに入浴をすませ就寝時間も早いため、遅い時間に訪問してはかえって迷惑になります。あまり遅くならないうちに家族そろって身なりを整えて挨拶品を持参の上、引っ越してきた挨拶をしましょう。引っ越し完了が遅い時間になってしまったら、無理をせず、翌日にした方が無難です。

引っ越し当日のよくある失敗例

引っ越しが初めてで気づかなかった、うっかりしていた、家族の誰かがやったと思っていた、など引っ越しに関するさまざまな失敗談を聞きます。「引っ越しの失敗あるある」程度の笑い話ですめば良いのですが、なかには深刻な事態になることもあるため注意が必要です。

大切な忘れ物に気づかなかった

普段使わない大切なものをクローゼットの奥など、人目につかないところに隠している人も多いのではないでしょうか。貴重品や宝石を入れた小箱などを表から見えない暗がりに入れていたために、最終的な忘れ物確認の際に見落として引っ越しをしてしまった人がいました。

次の住人が引っ越してきて忘れ物を発見し、不動産屋を通して連絡があるまで当の本人は忘れてきたことに気付いていませんでした。次の住人が親切な人でよかった、と心底胸を撫で下ろしたことでしょう。

設備まで持ってきてしまった

もともと賃貸住居に備え付けられていた照明や、物置の大家さんの持ち物である樹木の剪定や庭掃除グッズを、誤って運ばれてしまうことがあります。事前に依頼者がきちんと全スタッフの前で説明しておかなければなりません。もしくは、養生テープなどに「設備」や「運びません」と書いて貼っておくと分かりやすいでしょう。

家具の配置をやり直した

事前に新居の家具の配置図をああでもないこうでもない、と考えに考えて決めたのに、いざ家具を搬入してみると、なんだか納得がいかない、ということがあります。使い勝手が悪かったり、引っ越しスタッフに「ここに置くとこちら側の扉がここまでしか開きません」と言われて、大幅にレイアウトをやり直すこともあります。

配置を考える際は、ドアや扉の可動範囲や向き、荷物の出し入れのしやすさ、動線などを考えましょう。

フリー便は遅い時間に始まるとは限らない

引っ越し料金の節約のために、午前便や午後便ではなく格安のフリー便を頼んだため、まだ当分始まらないと思い込み、近くのファミレスやカラオケ店で暇を潰していたときに「これから向かいます」との連絡。あわてて自宅に戻って事なきを得たが、近所のスーパー銭湯にしなくて本当に良かったという話があります。

フリー便は遅い時間から引っ越しが始まるわけではなく、時間が決められないため「フリー」というだけで、業者の都合に任せる引っ越しプランだということを理解しておきましょう。必ず連絡がすぐに取れるようにしておくことが大切です。

まとめ

この他にも失敗談は数多くありますが、引っ越し業者もさまざまなノウハウは持っていますので、あまり事前に心配しすぎる必要はありません。一人暮らしで心配なら、頼れる家族や知人に応援に来てもらうと良いでしょう。自分以外の目があった方が何かと安心できるのではないでしょうか。

とにかく、引っ越しの最大のヤマ場は荷物の搬出です。ここに向けて荷造りを頑張らなければなりません。それに比べれば、引っ越し後は時間の締め切りもないため、荷解きはゆっくりで大丈夫です。ただし、役所関係の転入手続きは引っ越し後14日以内に届け出ることが決められていますので、気をつけてください。