妊娠中の引っ越しの注意点(助成金や補助券、転院)について

赤ちゃんを迎えるために新しい物件を探したり、夫に転勤の辞令が出たりで、妊娠中に引っ越しを行う人は少なくありません。そこで気になるのが、妊婦健診など住んでいる自治体からの助成です。引っ越しをして、住所が変わり通院先が変わっても、継続して助成を受けることはできるのでしょうか?

引っ越しても、妊娠や出産で自治体の助成を受けるには

住んでいる自治体により若干の差がありますが、妊娠届を提出することにより、母子健康手帳の交付と同時に、妊婦健診の費用を公費で一部負担してくれる補助券が支給されます。

これは、自治体と契約している近隣地域の医療機関での受診に対して支給されるものなので、引っ越しをして契約外の産婦人科に通院した場合は、無効になってしまいます。

引っ越しをしたときに自治体の保健所や保健センターなどで届け出を行うと、引っ越し先の自治体から助成を受けることができます。

引っ越しで母子健康手帳の手続きは必要?

前の住所の自治体で発行された母子健康手帳は、引っ越し先でも引き続きそのまま使えます。転出や転入に際し、特に役所や保健所に届け出る必要はありません。記載されている住所や電話番号、夫の連絡先に変更があったら、必ず新しいものを自分で記入しておきましょう。そうすると、万が一、外出先で別の医療機関に緊急搬送されても、夫に連絡を入れてもらえます。

妊婦健診などの補助券はどうなる

今まで使っていた補助券は絶対に捨てないでください。引っ越しによって使えなくなったからといって安易に捨ててしまうと、引っ越し先での新たな申請ができなくなるかもしれません。また、綴りになっているものは、バラバラに切り離すと無効になってしまうこともあるため気をつけましょう。

これら引っ越し前に使っていた妊婦健診の補助券・受診票、母子健康手帳、印鑑を持参のうえ、引っ越し先の保健所や保健センターに行って手続きをします。役所に転入届を出したその足で、忘れずに行うようにしましょう。

担当窓口で事前に確認しておくこと

引っ越しをしても転院せずに、これまでと同じ産婦人科に通院し、そこでの出産を希望する場合は、産婦人科の窓口では自己負担で医療費を支払い、その後、妊婦健康診査助成金交付制度を利用し、受診費用の一部を負担してもらうことができます。

その制度についての手続きや交付金の受給額、申請方法などは各自治体により異なります。事前に必ず電話で確認をとり、二度手間にならないように必要書類をそろえてから出かけましょう。

どこで産む?転院の手続きはどうするの?

今まで通っていた産婦人科は、近所の知人の評判を聞いたり、インターネットで情報を仕入れたりして、自分の希望するお産方法や設備、医師やスタッフの雰囲気などから総合的に判断し、時間をかけて納得のいくところを選んだのではないでしょうか。

転院となると、また新たに探すことになりますが、知らない土地の交通事情や産婦人科の評判などは、なかなか分かりにくいものです。特に妊娠後期では、2週間に1回から1週間に1回と、だんだんと妊婦健診の頻度が増えていきます。その前に、なんとかして気に入った産婦人科を見つける必要があります。

通院していた産院で紹介状を書いてもらう

通院していた産婦人科に引っ越しすることを告げて、転院先へ紹介状を書いてもらいましょう。受診暦や検査内容などの記載があれば、再度同じ検査をする必要はありませんし、引き継ぎもスムーズです。

その際に、引っ越しをする地域に産婦人科の知り合いがいないかなど相談すると、良い医師を紹介してくれるかもしれません。また、その地域の事情に詳しい看護師さんなどもいるかもしれないので、広く声をかけておくと良いでしょう。

地域により産科不足で分娩予約が取りにくいところも

全国的な傾向として、産婦人科や小児科は医師不足が目立ち、廃業する個人の医院も増えています。そのため数少ない産婦人科に分娩希望者が殺到し、婦人科の治療や妊婦健診の受診者などで絶えず混雑している状況です。

ベッド数を超える希望を受け付けることもできないため、ほとんどの産科は予約制です。そのため、たまたま同じような時期に分娩希望者が集中してしまうと、断られてしまうこともあります。

受け入れOKの産院を至急探すこと

評判の良いところや通いやすいところなど、なるべく条件の良い産婦人科に通院したい気持ちは分かります。しかし一番大切なことは、出産予定日の分娩の受け入れができるかどうか、これに尽きます。

地図上での見た目では距離が近くても、車ではなく公共交通機関を使っての通院になるなら、1時間あたりの便数も見るべきでしょう。交通の便の悪い近場より、交通の便の良い遠くの方が、結果的に所要時間が少なくなることもあります。

情報を収集して実際に見てみること

保健センターで手続きをすると、妊婦健診や出産の助成の説明をしてくれます。その際に、自分の住む場所からどの辺までなら通えそうか、他の人はどこで産んでいるのかなど、質問するようにしましょう。

保健師さんは立場上、特定の産婦人科をおすすめすることはできませんが、条件に合うところを何か所か紹介してくれるでしょう。まずは通いやすそうなところをいくつかピックアップして、院内の雰囲気や、受付の様子、妊婦さんとのやり取りの様子、混雑具合などを観察してみましょう。

候補に入ると思えば、まずは受付で出産予定日の分娩の受け入れ態勢があるか積極的に尋ねてみましょう。

上に子どもがいる場合の預け先は

上の子がいて、出産時の預け先がない場合は、近所の保育園に一次預かりの枠があるかどうかを聞いてみましょう。正規の入園ではなくても、緊急性のある場合は受け入れてくれることが多いです。必要なものを作ったり買ったり、慣らし保育が必要なこともあるので、早めに手続きをしましょう。

状況に応じ、里帰り出産も検討

引っ越し先の近隣の産婦人科では、妊婦健診は受けられても分娩予約が取れなかった、という場合は、あまりに遠い産婦人科に通うより、里帰り出産をした方が良いこともあります。実家の近隣で受け入れてもらえる産婦人科があれば、早めに予約を取って安心を得るのも一つの選択肢です。

まとめ

引っ越しすることになっても、まずは母体と赤ちゃんを優先して動きましょう。安定期に入る前には、立ったりしゃがんだり、荷造りなどで重いものを持ったりしないように気をつけましょう。

あれこれと事前に準備していても、そのときの状況に応じてどうなるか分からないのが出産です。なるべく気楽に構えて、代理人で済む届け出や手続きなどは任せるなどして、うまく乗り切ってくださいね。