新築マンションへ引っ越す場合の費用相場と安くするコツ

新築分譲マンションへの引っ越しは、通常の引っ越しとは異なり、大勢の引っ越しが一度に重なるためにトラックの渋滞の列ができたり、エレベーターがなかなか使えなかったりと、スムーズな作業に支障をきたすため、さまざまな制限が設けられていることがほとんどです。いち早く引っ越したいのに、希望日に引っ越しができないこともあります。

引っ越しする際の費用相場と注意点

大手デベロッパーの新築分譲マンションや世帯数の多い中規模以上の新築分譲マンションを購入すると、一斉入居の引っ越しの幹事会社が指定されていることがほとんどです。

集合住宅に住むということは、入居規約や管理組合などで決められたルールがあり、個人が何でも自由に振舞うわけには行きません。引っ越しも個人の希望通りになることは難しく、決められたスケジュールに沿って進められます。

全世帯の引っ越しは幹事会社が一元管理することになります。事前に全世帯から引っ越し希望日のアンケートを回収し、うまくスケジュールを組み、滞りなく引っ越し作業が終わるよう管理するのが幹事会社の役目です。

幹事会社になるには長年の経験と実績が物をいうだけでなく、入居者は全国各地から引っ越してくるため、全国規模で営業所がある業者に限られます。というわけで、テレビCMなどでもおなじみの大手の引っ越し業者が一手に引き受けることになります。

新築マンションに引っ越しする場合の費用相場

規模の大きいマンションの引き渡しは、新年度から新生活ができるようにスケジュールを組む場合が多いようです。しかし、遠方から家族で引っ越してくる場合、どうしても子どもの春休みに入ってからの引っ越しを希望する人が多いでしょう。その時期は全国的に引っ越しシーズンとなるため、通常の引っ越し料金の相場よりはかなり高くなってしまいます。

繁忙期の単身と4人家族の引っ越しの距離別の料金例を紹介します。

距離 単身 4人家族
15kmまで 50,000円 110,000円
50kmまで 50,000円 130,000円
200kmまで 60,000円 150,000円
500kmまで 80,000円 290,000円
500km以上 90,000円 310,000円

上記はあくまでも参考料金例です。通常期や閑散期、休日や平日、荷物量やオプション利用によっても変動があります。

業者の手配は早めに

引っ越しの幹事会社が決められているとはいえ、強制力はなく、個人が自由に引っ越し業者を選ぶ権利があります。ただし、別の引っ越し業者に依頼するときは、必ず新築マンションの一斉入居であることと、幹事会社を伝えなければなりません。

引っ越し業者同士で当日の養生や進行についての打ち合わせが必要となるため、その話の流れ次第では引っ越しを断られてしまうことがあるからです。

引っ越し業者に訪問見積もりを依頼するより前に、ある程度の情報を伝えておく必要があります。特に、年度末から新年度にかけての繁忙期では、わざわざ難易度の高い一斉入居の引っ越しでなくても、いくらでも高い引っ越し料金で他の引っ越しが請け負えるからです。

幹事会社があることを伝えると、しばらくは予約で一杯で、などと他の理由をつけて断られることもあります。

幹事会社以外の引っ越し業者に依頼する時の注意点

幹事会社の仕切りの元、別の引っ越し業者がそこに参入するのはなかなか難しい面もあり、一斉入居に慣れていない引っ越し業者では少し心もとないかもしれません。また、分譲ということは自分の持ち家になるわけですから、共用スペースとはいえ少しでも傷がつくとマンションの資産価値が減ることになり、目を光らせる住人もいます。

幹事会社担当の引っ越しが続く日は、幹事会社が全ての共用スペースの養生をしっかりと行いますが、それ以降は、自分が依頼した引っ越し業者が全ての養生を行うことになります。大規模マンションで新築ということは、かなり広範囲の養生資材が必要になり設置にも時間を費やすことになるため、養生費が追加になると結局は高くついてしまいます。

また、当日の引っ越しはトラックの先着順やスケジュール表の順番どおりに行うことになり、どうしても幹事会社を通した引っ越しが優先されます。

そのため、トラックは早くに到着していても、エレベーター利用やトラック駐車位置の関係などで、すぐに作業を始められずその場で何時間も待たなければならないことがあります。その間の留置料が生じ料金に加算されることもあります。

その辺をよく考慮した上で適した引っ越し業者を選ぶことになるでしょう。繁忙期は特に引っ越しが混み合うため、条件の合う安い業者を選ぶためにはなるべく早く手配をすることが肝心です。

新築のマンションへ引っ越しする際のポイント

高いお金を払って自分の持ち家になったからには、入居可能になったらすぐにでも賃貸物件を解約してムダな家賃を払いたくないと多くの人が思うでしょう。そのため、初日や翌日、一週間ぐらいは引っ越しで大混雑し、世帯数にもよりますが1か月や2か月は休日のたびに常にどこかが引っ越しをやっているという状況が続きます。

引っ越し業者の料金を比較する

新築マンションというと、一斉入居か、休日か平日か、大安か、何階か、共用スペースの養生の範囲、他の引っ越しと同時作業になるのか、エレベーターの大きさと数、駐車場所が確保できるか、という点が業者にとっては気になるでしょう。

一社ずつ問い合わせをするのは時間がかかる

一社ずつにそんなやり取りをして断られていたのでは時間も無駄になってしまいますし、精神的にも焦りが生じて疲弊してしまいます。手っ取り早いのは引っ越しの一括見積もりサイトを利用して、やり取りを一度ですませる方法です。これならさまざまな条件を把握した上で、引っ越しを引き受ける気がある業者からしか連絡は来ません。

そのうちの3社程度に正式な見積もりを出してもらい、幹事会社の見積もりと比較してみると良いでしょう。3社には、終了時間が遅くなっても、トラックでの待機時間があっても、他に別料金が加算されないことを確かめておき、見積もり書に記載してもらいましょう。

引っ越し料金を安くする

値引き交渉をした上で料金的にさほど違いがないのなら、幹事会社にまかせるべきだと思います。たとえ幹事会社に任せるにしても、一括見積もりサイトを利用して見積もりを出してもらうことは無駄にはなりません。世間の料金相場がわかり、その金額を根拠に幹事会社に値引き交渉をすることもできるからです。

たいていは幹事会社が一括して大口契約が取れることにより、通常より料金を下げている場合が多いため、皆さん不公平にならないようにしていますので、と値引きを渋ることもあります。しかし、結局は世帯により荷物量が違うため比較するのは難しいこともあり、内密にと値引きしてくれることはあります。

他の3社には幹事会社が最安値だし色々融通がきくので、といえば深追いすることもないでしょう。他社の見積もり書を提示して幹事会社に値引き交渉する材料にもなりますし、幹事会社よりも良いと思う業者が見つかればそちらに安く任せることもできるわけです。その手間を掛けることが、世間よりも安く引っ越しをするコツです。

業者トラックの駐車スペースの確保

新築マンションの入居開始で幹事会社が決まっていなければ、現場は多くの引っ越し業者が集まり無秩序に動いたのでは混乱必至です。それを引っ越しを管理する幹事会社がスケジュールを組み、各世帯の引っ越しがスムーズに運ぶように後押しするのは理に適っているといえます。

他の業者に頼む場合は、トラックを駐車して作業できるスペースの確保が肝心です。玄関口に一番近い便利な場所は幹事会社のトラックで優先的に埋められるでしょう。作業のすき間時間をねらって引っ越しをしなければならないため、その間どこに待機して、作業時にはどこに停めてよいかの段取りはしておく必要があります。

一斉入居に慣れている業者なら暗黙のルールを理解していたり交渉したりすることもできますが、慣れていないと、その時になってみないと分からないと言われてしまうこともあります。別の業者に依頼する場合は、幹事会社に対抗できるだけのしっかりとした業者に任せるのがおすすめです。

まとめ

決して幹事会社を推しているわけではありません。しかし、マンション販売元のデベロッパーなどは、各地でいくつもマンションを分譲し、その都度信頼のおける引っ越し業者に一元管理を任せているわけですから安心感はあります。

エレベーターの使用時間が決められて割り振りされていれば、進行が遅れている引っ越しを別のチームが手伝ったり、現場に派遣された社員が手を貸してスケジュール通り進むように徹底して管理してくれます。

何においても幹事会社が優先されるため他の業者はどうしても不利な立場になってしまいますが、それでも快く幹事会社より安く引き受けてくれる業者が見つかればラッキーです。誠実で対応が良さそうなら依頼しても良いと思います。

※参考料金例は2017年10月10日現在のものです。