独身や夫婦二人だけだった引っ越しと違い、子どもが生まれて家族の人数が増えると荷物量も増えて引っ越し費用もかさみます。しかし引っ越しの見積もりで提示された料金を見て「家族が増えたのだから高くなるのもやむを得ない」と納得するのはまだ早いですよ。
事前準備と交渉次第で、まだまだ引っ越し費用は安くなる可能性があります。
引っ越しする際の費用相場と注意点
引っ越し業者が提供するサービスは、形あるものを売る小売店と違い「定価」がありません。運ぶ家財一つ一つに「37インチテレビ1台いくら」、「3人掛けソファいくら」などと料金設定をしているわけでもありません。
引っ越し料金はあくまでも全体の荷物料と引っ越し先までの移動距離、人件費、エアコン移設工事などのオプション料金で決まります。
そのため、行き先も荷物量も異なる引っ越し料金を一概に比較するのは難しい部分がありますが、標準的な家族の引っ越し料金の相場を紹介します。
家族での引っ越しの費用相場
引っ越し料金は上記で説明したさまざまな条件で決まると説明しましたが、実は引っ越し時期によっても大きく上下します。通常期に比べると、引っ越しが混み合う3月から4月の繁忙期は引っ越し料金が跳ね上がります。
通常期と繁忙期の家族4人で引っ越した場合の移動距離別の参考料金を紹介します。
通常期
距離の目安 | 参考料金 | |
---|---|---|
市区町村内 | 〜15km | 65,000円 |
都道府県内 | 〜50km | 85,000円 |
同一地方内 | 〜200km | 95,000円 |
隣接地方 | 〜500km | 130,000円 |
遠隔地方 | 500km〜 | 220,000円 |
繁忙期
距離の目安 | 参考料金 | |
---|---|---|
市区町村内 | 〜15km | 95,000円 |
都道府県内 | 〜50km | 120,000円 |
同一地方内 | 〜200km | 160,000円 |
隣接地方 | 〜500km | 255,000円 |
遠隔地方 | 500km〜 | 350,000円 |
上記はあくまでも引っ越し料金の総額を参考にしているため、世帯ごとの荷物量や、エレベーターの有無、吊り上げなどの特殊作業によってかなり差が生じます。例示した金額より安いから得をした、高いから悪徳業者だ、ということにはなりません。
しかし、全般的に繁忙期は通常期に比べて割高になり、引っ越し料金が2倍にも跳ね上がるというのもあながち間違いではないようです。
子供やペットに注意
子どもが2人いる4人家族の構成でも、子どもの年齢によって一人ひとりの荷物量がかなり異なります。親と添い寝のできる乳幼児ならそれほど荷物量は多くありませんが、園児、児童、生徒、学生と成長するに連れ、持ち物は飛躍的に増えていきます。
しかも学習机やベッド、タンス、本棚、ピアノなどの大きな家具や、有料オプションサービスの特殊作業や電気工事が必要になることもあります。学校の教材やスポーツ用品などの荷造りにも多くのダンボールを必要とするでしょう。
そのため一概に4人家族といっても、子どもの年齢によっては3人家族程度の荷物量のこともあれば、5人家族分以上の荷物量になることもあるものです。
選ぶ家具によって費用を圧迫することも
女の子は特に自分の部屋づくりにこだわりのある子も見られます。自分で組み立てるIKEAの家具はおしゃれでリーズナブルなところが人気ですが、基本的に再組み立てを前提として作られていません。
運ぶ際にドアから出せない大きなものは窓からクレーンで出すことになりますが、リーズナブルな家具のために高いクレーン作業料金を払うのはためらわれるでしょう。大きいものは使い捨てになるかもしれない覚悟で購入したほうが良さそうです。
転勤族なら、今後の引っ越しのことも考えて、どんな間取りにも対応できる小型の家具を組み合わせて使うか、何度でも組立と分解が可能な家具にした方が、結果的には引っ越し費用が抑えられるでしょう。
ペットの引っ越し方法を考える
ペットを飼っている人は、事前にペットの移動方法と、引っ越し作業中のペットの居場所についても考える必要があります。すぐ近所への引っ越しならいいのですが、中長距離の引っ越しならペットの種類によってはきちんとした管理をしなければ生命に関わることがないとはいえません。
たとえば、熱帯魚は水槽ごと運ぶのではなく、水と一緒に小分けにパッキングして適した水温を保持しながら運びます。犬や猫も慣れない距離の移動で乗り物酔いしないように、前日から餌の量を調整してトイレをすませてから乗車させるなど、工夫が必要になります。
引っ越し先まで家族で車で移動するのか公共の交通機関での移動になるのか、バスや電車飛行機などによっても、事前に万全の準備をしなければなりません。ペットにとっては家族と一緒に移動できるのが一番良いという説明も見聞きしますが、必ずしも全ての人に当てはまるとは思えません。
ペット専門の輸送業者の利用がおすすめ
公共交通機関の移動で、乳幼児連れでただでさえ手荷物が多いときにわざわざペットと同行するのはおすすめできません。他の乗客の迷惑や管理の大変さを考えた場合、ペットにとって快適な移動方法はペット専門の輸送車両で運んでもらう方法でしょう。
引っ越し業者のオプションサービスがあるところもありますし、自分で業者を探して依頼することもできます。移動距離や車種などにより、料金もさまざまです。主な業者ではインターネットのホームページに料金表を提示していますので確認してみましょう。
小さなケージに入れたほうが落ち着くのか、後部の荷室全体をケージにしている車両で伸び伸びと動き回ったほうが安心なのか、自分のペットの性格に合う方法で運んでもらえる業者を選んでください。また、ペットホテルを併設している業者なら、引っ越しが終わって落ち着いてから招き入れることもできるため安心です。
家族の引っ越し費用を安くするコツ
引っ越し業者のサービスは、荷物を引っ越し先に運んでくれるだけではありません。忙しい人に代わって荷造りや荷解きをしてくれたり、掃除をしてくれたり、不用品を処分してくれたり、細かく挙げればキリがありませんが、さまざまなオプションサービスを提供しています。
滅多にない引っ越しですから要領も良く分からず、すすめられるままさまざまなオプションサービスを追加してしまうと、途端に引っ越し費用が高額になってしまいます。引っ越し費用を少しでも節約したいと思うなら、引っ越し業者の言いなりになってはいけません。引っ越し費用を節約するコツを紹介します。
引っ越し業者の料金を比較する
ハッキリと料金表示がないものは、一体いくらするんだろうと心配ですよね。何かの製品を買うとき、オープン価格となっていれば、通販サイトなどで大体どの程度の金額になっているか調べてみるのではないでしょうか。そして一番安い通販サイトで注文するのではありませんか。
引っ越しも同じです。少しでも安いところに頼みたい、と思うのは当然です。そのためには、一社だけではなく複数の業者による相見積もりが欠かせません。頼みたい業者が決まっていたとしても、あえて他の業者からも見積もりを取ることをおすすめします。
そうでないと、その引っ越し料金の見積もり額が高いのか安いのかということが判断できません。何社かの見積もり額が出そろってみて、初めて自分の引っ越しの費用相場が見えてきます。
その後、それぞれの業者の作業内容や明細の金額を見て、料金の値下げを交渉します。他の安い業者の見積もり額を提示すれば、積極的に契約を取りたい業者ならたいていはそれよりも値下げをしてきます。また、ここまでは安くできませんがこちらをサービスすることはできます、というような流れもあります。
多くの人が誤解しやすいのですが、最初に出してもらった見積もり額の中から安い業者を選ぶのではありません。ここまでやって初めて適正な料金にしてもらった上で比較検討ができるのです。
引っ越し業者が多数登録している一括見積もりサイトを利用すれば最初から安い見積もり額を提示してきますが、それでももうひと押しでさらに安くしてもらうことができるでしょう。
できるだけ不用品を処分しておく
子どもが成長して自室を持ち、自分の持ち物を自分で管理できるようになると、親が介入することはなかなか難しいといえますが、それでも引っ越し前に不用品を処分して、荷物量を減らすように努めましょう。
子どもに任せておくと、ゴミに出すための分別を面倒くさがったり、思い出のある品を手放す気になれず、「全部大切だから全部運ぶ」ということになりがちです。そこで「いるorいらない」でなく、「使うor使わない、迷い中」などの3種類に分類させてみるのも一つの方法です。
YesかNo以外の選択肢を増やすことで、整理が捗ることがあります。その分別のコツを伝えた上で、「手伝おうか」と一声かけると良いでしょう。
思い出深い作品やおもちゃなどを写真で残したり、ただ捨てるのではなく欲しい人に譲ったりリサイクルに回したり、子どもの気持ちを考えて進めてみてください。荷物を減らせば全体の荷物量が少なくなり引っ越し料金の節約になること、業者に頼む不用品の処分料がかからずにすむことなどを説明すれば理解してもらえるでしょう。
まとめ
一人暮らしの引っ越し費用は家族の引っ越しに比べて安いのは誰もが知っています。理由は荷物が少ないからですね。家族の引っ越しでも、なるべく荷物を減らせば良いのです。
引っ越しで荷造りを始めると、不用品があとからあとから出てくるでしょう。中には、存在を忘れていたものもあるはず。使える物はリサイクルに、他はゴミとしてスッキリと荷物を減らしましょう。
そして、必ず訪問見積もりを3社以上に依頼して概算でない正式な見積もり書を取得します。できれば夫婦二人の都合の良い時間に来てもらうと、あとからお互いに報告や相談をせずにすみ話が早いです。交渉力のあるほうが値下げ交渉を頑張ってもらってください。