引っ越しの際の小学校や中学校、高校の転校手続き

引っ越しによる転校は、子どもにとっては不安がいっぱい。地域が変われば公立でもガラッと雰囲気が変わるものです。前の学校と規模が違えば当然戸惑いもあるでしょう。早くなじめるように準備や手続きに早めに取りかかり、安心させてあげてください。

小学校や中学校の転校手続き

通学区が決められている公立の小中学校と、私立の小中学校とでは手続きが異なります。子どもの学年にもよりますが、引っ越し先の近くに私立の学校があれば選択肢に入れることもあるでしょう。それぞれのケースについて説明します。

同一市区町村の公立学校に転校するケース

現在通学している学校の担任を通して引っ越し予定があることを連絡します。現在の学校から校長名で「在学証明書」と「教科書給与証明書」が発行されるので登校最終日に受け取ります。確実に受け取ったことの証として、印鑑が必要です。

引っ越しをしてから14日以内に、役所に「転居届」を提出します。教育委員会や学校教育課など自治体により名称が異なりますが、公立小中学校の転校手続き窓口で手続きをします。

住民異動届の写しが必要になる自治体もあります。引っ越し後は何かと住所変更の手続きで必要になることが多いため、マイナンバーの記載のない住民票の写しを一通取得してコピーしておくと良いでしょう。

税、社会福祉関係以外に使用するならマイナンバーは不要ですし、万一落としたときに個人情報が漏れてしまうことにもなります。住所表記が不動産会社のチラシ掲載のものと異なることがあるため、正式な住所を確認するためにも便利です。

新住所を基に、学区内の転入先の学校を指定されます。自治体により名称が異なりますが、「転学通知書」や「就学通知書」、「学校指定通知書」などと記載された書類を受け取ります。

指定された新しい学校に役所で受け取った上記の「通知書」と、前の学校から受け取った「在学証明書」と「教科書給与証明書」を持参し、子どもと一緒にあいさつに出向きます。

同一市区町村外の公立学校に転校するケース

引っ越し14日前以降に現在住んでいる自治体の役所で「転出届」を提出し「転出証明書」を受け取ります。上記と同様、学校の担任に転校の旨を連絡し、「在学証明書」と「教科書給与証明書」を受け取ります。

新住所地の役所で転入届を提出し、学校教育課や教育委員会などの窓口で住民異動届の写しを見せ、「転学通知書」や「就学通知書」などの書類を受け取ります。

転入先の学校が指定されるので、学校に電話連絡の上、都合の良い日に転入手続きを行います。新住所地の教員委員会で発行された上記の「通知書」と、前の学校から受け取った「在学証明書」と「教科書給与証明書」を忘れないように持参しましょう。

私立の小学校や中学校に転校するケース

私立の学校への編入手続きなら、都道府県の学校教育関連のホームページか都道府県の私学協会のホームページなどで、募集要項が発表されていて、どんな学校がどの程度の人数を募集しているかが一覧になっているので比較することができます。

必ず公式の学校ホームページで詳細を確認してください。更新が遅れ、すでに募集を締め切っていたり、入力間違いがあったりすることもあるからです。

編入試験の方法や必要な手続きや応募資格などは学校によって全て異なると思って間違いありません。特に夏休み明けは帰国子女の募集枠が増えます。他の国内の転編入枠は全くないか、あってもわずかです。なるべく早めに問い合わせて試験対策をしましょう。各学校に直接問い合わせてください。

候補が何校かあるなら、混乱のないように早めに調べて子どもが馴染めそうかどうか実際に出向いて先生や生徒の様子をよく見学してみると良いでしょう。通うことになった場合の朝のラッシュや電車やバスの便の本数なども重要になります。

私立の学校は学校ごとに学習進度が異なり、公立よりは進みが早いためその辺のフォローをどうするかということも考えなければなりません。塾や家庭教師を頼むにしろ、まずは子どものやる気がどの程度のものか見極めることが肝心です。

高校の転校手続き

高校生にもなると義務教育ではありませんから、公立でも私立でも転編入試験を受験しなければなりません。公立でも各地区により受験方法はさまざまで、筆記試験の他に面接、受ける学科によっては技能試験などもあります。

また、学力的に自分に適している学校を選ぶ必要があります。私立なら受験科目が少ない学校もあります。卒業生の進学先や就職先なども参考にしましょう。偏差値はインターネットでも調べられますが、サイトによりバラツキが見られますので必ず複数のサイトを確認してみてください。

公立高校へ転校するケース

都道府県の教育委員会のホームページ内に高校の所在地マップや一覧表、入学選抜試験や転編入の要項などが掲載されていますので確認しましょう。定員に満たなかった高校や欠員が出た高校などでは募集をしていることがあります。

何校も願書を出すことができるのか、同じ学校の複数科の受験ができるのかなど、疑問に思うことは必ず事前に確かめておきましょう。手続きや転編入試験の様子など色々と分からないことも多いでしょうから、まずは都道府県の教育委員会に相談してみましょう。また、実施状況や必要書類や願書受付時間など詳細については、各学校に問い合わせてください。

私立高校へ転校するケース

都道府県の教育委員会か私学協会などのホームページにさまざまな情報が掲載されています。転編入のお知らせをよく見て、応募資格があるか確認してみましょう。複数校受験するつもりなら早急に準備や手続きが必要です。学校により受験対策も変わってくるでしょう。

転勤による引っ越しか、海外からの帰国か、引っ越しを伴わない転編入かなどの理由により、受験方法や手続きや必要書類が異なりますので、漏れのないように確実に手続きすることが大切です。いずれにしろ、早いうちに候補の学校に訪問予約を取り見学させてもらい、受験対策などいろいろ相談してみましょう。

転校する際の注意点

春休みや夏休みなどの長期休暇中に学校を訪問する際は、事前に必ず電話をして転校の手続きである旨を連絡してください。日直の先生によっては対応できないこともあるため、きちんと担任になる先生に会える日に訪問するようにしましょう。

転校するベストなタイミングは?

急な転勤や家庭の事情で突然引っ越しすることになった場合はやむを得ませんが、時期を選べるなら子どもにとって転校のベストなタイミングは、春休み中に引っ越しをすませ、4月から一斉に新学年が始まるときです。新入学と同時なら、なお良しです。

他は、夏休み後や冬休み後の長期休暇明けからもおすすめです。余裕をもって、休みの間に諸々の準備を行えます。気持ちの切り替えや覚悟、周辺の環境などを知るのにも、ある程度の時間があった方が良いでしょう。

運動会や修学旅行などの大きな行事を控えている場合は、転校が決まっているので練習や話し合いなどに参加できず寂しい思いをさせるのもかわいそうです。

できれば行事が終わってから引っ越しできるように、引っ越し先には一時的に単身赴任してもらうなどして何とか対応できると良いですね。近隣の学区への引っ越しなら、役所でも学区外からの通学を認めていることがほとんどです。

新しい友達作りのポイント

引っ越しする前にスポーツや習い事をやっていたなら、引っ越し先でも継続できるように地元のスポーツ少年団や公共施設のサークル、民間のクラブや教室など、通いやすい場所の団体に所属してしまうと良いでしょう。

近隣で評判の良いところをリサーチしてみましょう。どこも似たり寄ったりなら、同じ学区の子どもたちが一番多く通うところにするのがおすすめです。

結局は、学校のクラスの友達よりも、自分の好きなスポーツや趣味を通したつながりのほうが先々までずっと仲間として保護者ともども一緒に活動することになりやすいです。今までそういうものに無縁だった子も、何か興味の持てそうなものがないか一緒に見学したり体験したり色々出かけてみると良いですよ。

公共の施設でやっているものは会費も安いところが多く、近隣の学校の子達が多く集まっています。指導者や子どもたち、保護者などの雰囲気が良ければ思い切って体験してみると良いでしょう。

どこそこに引っ越してきました、と挨拶すれば学校が始まる前に近隣の子どもたちと仲良くなれるかもしれませんし、一緒に公園などに連れて行ってもらえば同じ学年の子と出会うきっかけにもなるでしょう。

中学生や高校生なら下手に親が介入しない方が良い場合もあります。学校行事や部活動などを通じて気の合う友達が見つかるでしょう。

まとめ

公立の小中学校の転校の場合、自治体によっては、学区外の引っ越しでも時期や年令を鑑みて特別な措置を取ってくれるところも多いと思います。教育的な配慮から、受験生なら卒業まで現在の学校に通学を認めてもらえたり、学校行事の終了まで転校を引き伸ばしたりということは多いと思います。

できれば、ベストなタイミングで転校できるのが一番ですが、事情次第ではそんな悠長なことを言っていられないこともあるでしょう。とにかく子どもの気持ちを一番に思いやり、不安がないように一緒に書類や持ち物を確認したり、新しい学校の良いところをたくさん見つけたりしてください。

同一市区町村の引っ越しの場合、引っ越しをしてから14日以内に役所へ届出することになっていますが、引っ越しが決まり次第、転校の手続きは早めにしてあげてください。