未成年者が引っ越しする場合の手続きなどの注意点

大学進学や就職などで、未成年でも親元を離れて一人暮らしを始める人がいます。引っ越しをするにあたり、さまざまな手続きの際に未成年であることが不都合なケースはあるのでしょうか。

未成年では契約を断られることはあるのか、どのようなことに注意が必要なのか、事前に理解した上で準備を進めましょう。今回は未成年者が引っ越しする場合に必要となる手続きや注意点などについて紹介します。

未成年者の引っ越しについて

大学進学による引っ越しは未成年が多いですが、引っ越しの申し込みや契約はどうしたら良いのでしょうか。

親の同意は必要なの?

引っ越し業者に引っ越しを依頼する分には、未成年でも成人でも問題なく申し込みできます。引っ越しだけなら、法律や引っ越し業を監督する国土交通省のルールなどが介在することはありません。

というわけで、未成年の引っ越しは、親の同意は必要ありません。

一人暮らしで自立するからには一人前の大人と見なされ、引っ越し料金がきちんと払えるなら、引っ越し業者は依頼を引き受けてくれます。家族が住む実家からの引っ越しなら、引っ越し料金を親が支払うのか子どもが支払うのかは引っ越し業者の関知するところではありません。

また、すでに一人暮らしをしている未成年が他の場所に引っ越しする場合でも、親の同意や連帯保証は不要です。支払い方法は、銀行振込の場合は引っ越し前日までに入金が確認できなければならないところが多いです。

クレジットカード利用の際は、事前に申し出てインターネットで引っ越し業者の公式ホームページから利用登録することになったり、事前にクレジットカード支払いであることを伝えなければなりません。

現金支払いの場合は、荷物を引き受ける前、つまり引っ越し作業に取り掛かる前に支払うケースと、運ぶ荷物を全部トラックに載せた時点で支払うケース、新居に荷物を運び終えて引っ越しが完了してから支払うケース、と引っ越し業者によりさまざまです。

訪問見積もり時にいつ支払うことになるのか確認しておくと良いでしょう。多額の現金を管理するのが面倒なら、引っ越し開始前に支払えるか引っ越し業者に相談してみると良いでしょう。

公共料金などの手続きはどうすればいい?

電気やガス、水道などの公共料金の契約も、未成年でも問題になることはありません。実家にいた頃とは違い、これからは全て自分の使った分だけ料金がかかることになります。料金のしくみや支払い方法、契約方法などを理解しておきましょう。

電気の申し込み

あらかじめ電気使用開始の申し込みが必要です。自分の名義で申し込むことになります。引っ越し先の住所地に供給する電力会社に電話をして申し込むか、インターネットの公式サイトから手続きができます。

インターネットなら24時間手続きができますので、スマホやパソコンを使い慣れているならそちらが便利です。インターネットでは使用開始の30日前から使用開始の3日前までの申し込みを受け付けているところが多いです。しかし、さまざまなプランがあり、見てもよく分からないという場合は、電話で質問しながら申し込むのが無難でしょう。

地区や建物により、旧式のアナログタイプの電力メーターが付いているところもまだあるかもしれません。そのタイプの住居なら、室内にある分電盤のブレーカーのスイッチを入れるだけで電気は使えるので、後日備え付けのハガキに必要事項を記入してポストに投函するだけで手続きができました。

しかし、今では大手電力会社がデジタル式のスマートメーカーに順次切り替えているため、すでにスマートメーカーが付いている住居では電力会社に使用申し込みをしないと電気が使えません。

いずれにしろ、引っ越し当日から確実に電気が使えるようにするには、3日前までには使用開始の契約をすませておくことをおすすめします。契約時に申込金や必要書類などはありません。

電気料金の支払いは

毎月の締め日があり、使用量により後日請求されます。自分の口座から毎月決められた日に自動で引き落とされる「口座振替」が手間がかからず便利です。しかし、十分な残高がないと引き落とし不能で、再振替日に再度支払いができないと送電を止められてしまうかもしれないため、自動振替日と口座残高に気をつけましょう。

また、支払い日により延滞利息が生じ、翌月分の電気料金と合算で請求されることがあります。その他に金融機関やコンビニから振込用紙による送金、クレジットカード払いなどの支払い方法もあります。振込用紙による送金は支払期限を守りましょう。クレジットカード払いは、クレジットカード会社ごとに引き落とし日が異なります。

ガスの申し込み

都市ガスやプロパンガスは、管轄の会社や不動産会社か大家指定の会社へ電話連絡で申し込みます。大手のガス会社ならインターネットの公式ホームページから申し込むこともできます。

開始手続きには、ガス会社の担当者と新居で立ち会いのもと、ガスメーターからガスコンロなどのガス器具までの開通作業、安全確認などを行った後に使えるようになります。検針代や出張料などはかかりません。

ただし、プロパンガスの場合、初回の立ち会い時に、保証金や預り金として1万円程度を預けることがほとんどです。解約の際には戻ってくるお金なので、預り証は大切に保管しておきましょう。

退去の精算時に預り証を紛失していると、返金請求ができないこともありますので、くれぐれも気を付けてください。引っ越しの際は、送る荷物と一緒にせず、手元に用意しておきましょう。

ガスコンロは、ガスの種類によって都市ガス用とプロパンガス用に分かれていて、適合した種類のものでないと危険なため、購入の際は気を付けましょう。IHクッキングヒーターを使う場合でも、ガス給湯器があれば必ず立ち会い点検を受けてください。

3月や4月の引っ越しシーズンでは、立ち会い確認を希望した時間の予約をとることが難しくなります。なるべく早めに申し込んでおきましょう。

ガス料金の支払いは

電気料金と同様、毎月の請求になります。ガス会社により、月の使用料が1,500円未満の定額の場合は、翌月分と合算で請求されることがあります。支払い方法は、口座振替、クレジットカード払い、コンビニや金融機関からの払込書による支払いが選べます。小規模のプロパン会社ではクレジットカード払いを扱っていないところもあります。

水道の申し込み

水道は、上水道と下水道のそれぞれの料金がかかります。申し込みは、その地区の市区町村の水道局になります。電話で申し込むほか、インターネットで使用開始の手続きができるところもあります。

水道は、玄関近くにある止水栓を開栓することで使えるようになります。しばらく蛇口を開けっ放しにして水の色が濁らなくなったことを確認してから使いましょう。まれに水道が止められている物件もあるようなので、引っ越し3日前までには申し込みをしておいたほうが良いでしょう。

中には 何日前までにと指定されているところもありますので、事前に水道局のホームページで確認しておくと安心です。また、井戸水利用や共同住宅など、月々の使用量に関わらず月額いくらと決められている住宅もあります。その際は、不動産会社から事前に説明があるでしょう。

水道料金の支払いは

電気やガスと違って、水道の場合は2ヶ月ごとの請求になります。支払い方法は、口座振替や振込用紙による支払いです。水道局により、クレジットカード決済を始めているところもあります。

未成年者の引っ越しでの注意点

引っ越し業者とは未成年でも問題なく契約できますが、これが賃貸物件の入居契約となると事情が異なります。成人が入居契約する際でも、契約の際には連帯保証人が必要になります。

昨今では賃貸保証会社といって、知人に保証人を頼まなくても、有料で保証人代わりになってくれる会社があり、そこを利用することで入居契約ができる物件も増えています。このような制度は家賃の滞納を防ぐことを目的としています。

未成年が借りる場合も、いくら支払い能力があると主張しても未成年者は法律上では制限行為能力者とされ、賃貸契約などの取引を行うことができません。

親の同意がないと部屋が借りられない

未成年者が名義人となる賃貸契約をするためには、保護者の同意が必要になります。つまり、親権者の同意さえ得られれば賃貸の部屋を自分名義で借りられるということです。

ところが、未成年者でも結婚をしていれば成年に達したものとみなされ、一転して保護者の同意がなくても賃貸契約が有効になります。このように結婚した未成年者が成年者として扱われることを成年擬制といいます。

未成年で未婚者の多くの場合は、保護者が不動産会社や大家と賃貸契約を結び、入居者を未成年者とする方法か、保護者の同意の上、未成年者が賃貸契約を結ぶ方法がとられることになるでしょう。

家具や家電など多額の費用がかかる

未成年か成年かに関わらず、一人暮らしを始めるには、引っ越し料金と賃貸物件の初期費用が掛かるだけでなく、最低限の家具や電化製品が必要になります。今後の生活費や家賃なども考えると、少しでも節約したいところです。

今後、実家を出て長く一人暮らしを続けることになるのか、進学のための一時的な一人暮らしかで、選ぶ家具や家電の種類や価格も変わってくるでしょう。

家電リサイクル法により、冷蔵庫や洗濯機、テレビやエアコンなどは処分をするにも廃棄処分料が必要になります。実家に帰る際には不要になる一人暮らし用の家電の一時的利用ならリサイクルショップなどでの購入も検討しましょう。また、不要になった時には使える物はリサイクルショップに買い取ってもらうと良いでしょう。

引っ越し料金を安くおさえるためには、引っ越しの一括見積もりサイトで安い業者を探すこともできます。単身パックや単身プラン、ミニ引越しなど一人暮らしのための引っ越しプランが色々と提供されていますので、複数の引っ越し業者から比較してみましょう。

まとめ

一人暮らしを始めるということは、戸締まりや火の元にも気を付け、各種の支払いなども滞りなく納めるなどして、周囲の住人や関係先に迷惑をかけないようにしなければなりません。未成年でも、1人で住むからには年令に関係なく社会人としてのルールが求められます。

引っ越しの手続きなどで少しでもわからないことがあれば、恥ずかしがらずに納得できるまで質問してください。引っ越し業者の見積もり時や賃貸物件の内見時や契約時には、保護者や知人などの協力者がいれば同席してもらったほうが安心できると思います。