印鑑登録の住所変更でカードを紛失した場合の手続き方法

印鑑登録とは、住民登録のある自治体の市区町村長に個人の印影を届け出て実印登録し、公正証書や重要な契約書類の作成時に本人であることを公的に証明してもらう制度です。一度登録すれば各地で通用するものでなく、市区町村外に転居をした場合には新たに届出が必要です。

引っ越しを機に自動車の買い替えなどを考えている人は、転入届の手続きで役所に出かけた際に同時にすませておきましょう。

引っ越しで必要な印鑑登録

社会人になれば、賃貸契約や自動車登録、進学時の連帯保証人などあらゆる場面で印鑑証明書の提出が必要になることがあります。

役所で印鑑登録さえすませておけば、印鑑証明書は役所まで出向かなくても、駅前などの出張所や市民センター、コンビニの自動交付機などで受け取ることもできます。いざ必要になったときに慌てずにすむように、早めの手続きをおすすめします。

廃止と登録手続き

他の市区町村に引っ越しをする場合は、現在の住所地の役所へ転出届を提出します。その届出により、印鑑登録は自動で廃止されます。印鑑登録証のカードは、自治体により返却したり、自分で破棄したりと扱いが異なります。同じ市区町村内に引っ越しをする場合は、転居届を役所に提出することにより、自動で住所変更されるため特別な手続きはありません。

印鑑登録できる印鑑とは

押印したときに小さすぎたり大きすぎたりするものは認められません。陰影の大きさが8mm以上で25mm以下の正方形に収まる大きさのものという規定があります。氏名、氏のみ、名のみのいずれかを文字で表したものとされていますが、フルネームのほうが安全度は高くなります。

ただし、印鑑登録のルールは、市町村ごとに若干異なることがありますので、自治体のホームページなどで確認してください。はんこ専門店で実印として購入すれば間違いないでしょう。

印鑑登録ができない印鑑は

8mm四方に収まるものは小さすぎて認められず、また、25mm四方に収まらない大きいものも同様です。他にも、機械で大量に作られて販売されているタイプのプラスチック印や、ゴム印などの柔らかい材質も、変形しやすいため登録不可です。

家族など、他の人がすでに登録をしている同じ印鑑での登録もできません。さらに、陰影が不鮮明なものや、文字が判読困難なものも適していないためNGです。

手続きに必要なもの

印鑑登録の手数料は、各自治体により異なります。300円前後が多いですが、無料から500円まで幅があります。ちなみに、東京都新宿区は50円、大阪府大阪市は無料です。窓口では、登録できる印鑑、運転免許証、パスポートなどの官公庁発行の顔写真付き身分証明書が必要です。

代理人が手続きする場合は、登録する本人の自署押印のある委任状、窓口に来た代理人の印鑑と本人確認書類が必要です。代理人の申請手続き後は、本人あてに役所から照会文書が郵送され、回答書を持参することで手続完了となるため、ある程度の日数がかかります。

印鑑カードの紛失について

引っ越しする際に、印鑑カードの紛失に気付いたらどうしたら良いのでしょう。印鑑登録は、各市区町村長の名前で発行されるもので、自治体ごとに印鑑条例を設けた自治事務です。印鑑証明書の交付手数料も自治体で異なります。

ルールも若干の違いが見られることがありますので、わからないことがあればインターネットの一般的な例を参考にするのではなく、必ず自治体の公式ホームページで確認してください。

カードを返却できない場合はどうなる?

市区町村外へ引っ越す場合は印鑑登録カードを返却しなければならない場合と、返却しなくてよい場合に分かれます。返却しなくてよければ印鑑登録カードが見つからなくても別段不都合はありません。転出届を提出し、住民登録を異動してあれば自動的に印鑑登録は廃止されるからです。

もし印鑑登録カードが紛失か盗難などで第三者の手に渡ったとしても、印鑑登録証明書は交付されないため悪用されることもないでしょう。役所に印鑑登録カードを返却しなければならない場合は、自治体ごとに手続きが異なるため各自で問い合わせてください。

紛失に気づいた時の対応方法

引っ越しがまだ当分先なのに、印鑑登録カードを紛失してしまったことに気づいたときは、転出届を出すまでにもし悪用されたら、と途端に心配になってしまうでしょう。実印が手元に確実にあるのなら、まず心配はありませんが、無くしたのか盗まれたのかわからないのでは何となく気持ちが悪いと思う人もいるかもしれません。

そんなときの対応方法として二通りが考えられます。まず、引っ越し前に印鑑登録証明書が必要になる場面があるかどうかを考えてみましょう。

必要ないなら役所に印鑑登録廃止届を出すと安心できます。届出が受理されれば、自動交付機などで第三者がカードを使って印鑑登録証明書を発行しようとしてもカードそのものが使えません。これで悪用される心配は無用です。

引っ越し前に実印を使う機会がある場合や、印鑑登録証明書が必要になるなら、印鑑登録カードの亡失届を提出して以前のカードを失効処理してもらい、新しいカードを再発行してもらいます。

もしくは、亡失届を提出した時点で廃止届と同じ扱いになり、再度印鑑登録をする手続きをとることになる自治体もあります。再発行の際は、普通に印鑑登録をするよりも手続きを慎重に行う自治体もあります。

再発行の申請をした後に自宅に照会書が郵送され、間違いなく本人が再発行を希望している旨の意思確認と所在確認を行ってから発行する、という方法です。

または、別に印鑑登録している人に保証人になってもらって、保証人の署名と実印の押印を使った申請書を使用する保証人方式をとる方法もあります。必ず事前に自治体の公式ホームページや電話で問い合わせて、必要な書類を不備なく揃えてから出かけましょう。

紛失した場合のリスクは?

紛失したのが印鑑登録カードだけなのか、実印とともに無くなったのか、運転免許証や保険証などを入れておいた財布ごと盗られたのかによって事態は大きく変わってきます。車上荒らしなどで盗難にあったら、即時警察署に盗難届を提出してください。

生年月日や住所の番地、電話番号など、暗証番号のヒントになりそうなものがあったら印鑑登録カードで暗証番号を推測して印鑑証明書が他人により発行されてしまうかもしれません。

実際は、印鑑登録証明書だけ発行されても、実害にはならない場合が多いです。しかし、これに実印が加わると危険です。過去に取得した印鑑証明書と実印をセットで盗まれたとしたら大ピンチです。多額の借金の連帯保証人に知らない間になっていたり、不動産取引や高額の物品の売買に悪用されてしまうかもしれません。

とにかく盗まれたときは警察に盗難届を出すべきです。その手続きさえ踏んでいれば、もし何らかの被害に巻き込まれたとしても届出たあとの第三者による悪用なら、被害を免れることがあるからです。

役所へは印鑑登録の廃止届を出し、別の印鑑で再度印鑑登録しましょう。また、このような紛失や盗難、不正使用を防止するために、実印が必要なときだけ登録してその後すぐに廃止届を出す人もいるようです。

まとめ

印鑑登録カードは市区町村外に引っ越す場合、カードを返却しなくてよい自治体は自分でカードにハサミを入れてくださいとしているところがあります。しかし、転居の際は窓口にカードを返却してくださいと公示しているところもあります。

このように、自治体によりかなり対応が異なるため、自分の住む自治体ではどうなっているのかを確認して指示に従うようにしましょう。