引っ越しする際のパスポートの住所変更手続きの必要性は?

本人確認の写真付き身分証明書として、運転免許証ではなくパスポートを使う人もいるでしょう。引っ越しの際、パスポートは住所変更を特に届け出る必要はありません。身分証明書なのに現住所が正しく記載されていなくても良いのかと疑問に感じるのではないでしょうか。その辺の説明と住所だけでなく氏名や本籍に変更がある場合についても紹介します。

パスポートの変更手続き

パスポートは世界に通用する身分証明書です。外国に移動するときパスポートを使いますが、写真が貼ってあるページには、姓名、国籍、生年月日、性別、本籍が記載されています。そのページには現住所の記載はありません。ここがポイントです。

住所のみを変更するケース

引っ越しで住所が変わっただけなら、旅券事務所やパスポートセンターなどに出向いて住所変更の届け出を行う必要はありません。パスポートの最後のページの「所持人記入欄」に旧住所が書いてあれば二重線で消し、ページ内の余白に記入するだけです。修正ペンや修正テープで旧住所を完全に分からないように消すことは避けてください。

本人の成りすましではと怪しまれてトラブルが生じるかもしれないからです。また、書ききれないからと、他のページに書き込むこともやめましょう。書き込みがあることで公文書偽造などが疑われ、入国審査の際にトラブルになるかもしれません。

何度も引っ越しをして書き込むスペースがなくなったなら、有効期間と今後の引っ越しの可能性についても検討し、旅券事務所に問い合わせてみると良いでしょう。

注意点としては、住所は上記のように自分で手書きで記入するものなので、居住地の証明としては認められないことがあります。その際は、住民票や住所変更後の運転免許証などで対応してください。

氏名や本籍を変更するケース

結婚や離婚、または養子縁組などで、姓や本籍地が変更になった場合は、パスポートが有効期間内なら、「切替申請」か「記載事項変更申請」の手続きが必要です。また、姓は変わらないが、本籍地だけを都道府県外に異動した場合も手続きが必要です。同一都道府県内なら申請は不要です。

名前を変更した場合、性別の変更が家庭裁判所で認められた場合、国際結婚で別の姓を記入したい場合などでも申請をして手続きをします。

切替申請の手続き

「切替申請」とは、現在所持しているパスポートをそのまま使い続けるのではなく、新しいパスポートに作り替えて発行してもらうことです。現在のパスポートと旅券番号は無効になり、新たに有効期間が5年か10年のパスポートを作ります。誰もが申請できるわけではなく以下の条件のいずれかに合致した人が対象になります。

  • 結婚や離婚、養子縁組などで戸籍の姓が変わった
  • 名前や性別の変更が家庭裁判所で認められた
  • 本籍地を都道府県外に異動した
  • 国際結婚などで別名や旧姓を併記したい
  • 有効期間の残りが1年未満になっている
  • 査証欄の残りが少ない
  • 汚損や損傷で記載箇所が読みにくい
  • 機械読み取り式でないものをIC旅券に変えたい
  • 追記欄に訂正事項がすでに記載されている
  • 就労や留学で、査証を取得するときにパスポートの残存有効期間が不足する

必要な書類など

  • 現在所持している有効中のパスポート
  • 一般旅券発給申請書(新規・切替用)1通
  • 6ヶ月以内に撮影したパスポート用の写真1枚
  • 6ヶ月以内に取得した戸籍抄本または戸籍謄本

手数料は、5年用は12歳以上なら11,000円、12歳未満は6,000円、10年用は16,000円を収入証紙と収入印紙により支払います。切替申請の理由により、必要な書類が異なることがあります。わからないことは届出先のパスポートセンターへ問い合わせてください。

記載事項変更申請の手続き

「記載事項変更申請」とは、氏名や本籍の都道府県が変更になった場合の手続き方法で、現在持っているパスポートの有効期間が引き続き有効となるものです。古いパスポートは返納し、新しいパスポートが発行されます。その際の、所持人のサイン、顔写真、旅券番号、ICチップ内のデータは新しいものに変わります。

必要な書類など

  • 現在所持している有効中のパスポート
  • 一般旅券発給申請書(記載事項変更用)1通
  • 6ヶ月以内に撮影したパスポート用の写真1枚
  • 6ヶ月以内に取得した戸籍抄本または戸籍謄本

手数料は2,000円を収入証紙で、4,000円を収入印紙により、合計6,000円を支払います。それぞれの状況により、必要な書類が異なることがあります。わからないことは届出先のパスポートセンターへ問い合わせてください。

手続きの際の注意点は

古いパスポートは不要だからと持参しない人もいるようですが、有効中のパスポートがないと手続きができません。忘れないようにしてください。申請した時点で古いパスポートは穴あき処理をされるなどして無効になります。新たな旅券番号は受け取るまで確認できず、新しいパスポートが発行されるまで渡航はできません。

また結婚や離婚で姓が変わっても変更手続きの届け出をしなくて良い場合があります。それは、鈴木さん同士や佐藤さん同士など、姓が同じ人と結婚した場合です。また、小野さんが結婚して大野さんになった場合、ローマ字の表記がONOで同じなら申請の必要はありません。

他にも、安倍さんが阿部さんになったときや、佐々木さんが笹木さん、織田さんが小田さん、畑野さんが波多野さんになったときなども同様です。

まとめ

正式な身分証明書として運転免許証に次いでパスポートと指定されていることが多いため、現在の状況を正しく申請しなければいけないのかと思いきや、引っ越して住所が変わっても手続き不要というのは意外な感じがしますね。

逆に言えば、本人確認はパスポートでできても、現住所の確認には適していないことになり、他の書類が必要になるということを理解しておきましょう。