年賀状で引っ越し挨拶する際の文例

昨今はパソコンやスマホで引っ越しの連絡を気軽に知らせることも多いようです。しかし、誰にでもその方法が通用するわけではありません。年長の親戚筋や知人、恩師や仕事関係など、転居通知としてきちんと書面で伝えた方が良いケースもあります。その際の社会人としてのマナーや文例を紹介します。

年賀状で引っ越し挨拶する際の注意点

年賀状で家族の近況を知らせることはよくあることです。そこで引っ越しの報告をするのは当然です。年に一回年賀状だけをやり取りするだけの相手でも、宛先の住所が変わるため正しい住所を伝えて次回から直して送ってもらう必要があります。

そうでないと、お互いに引っ越しをしてしまっていれば、運が悪いとお互いの住所が分からず、そのまま疎遠になってしまうこともあるからです。差出人の住所を変えただけでは引っ越しをしたと気付かれません。必ず「転居」を伝える文面の近くに大きめの字で新住所を目立たせるように書きましょう。

挨拶状と年賀状が近い場合はどうする?

転居報告の挨拶状は、通常は転居後すぐから遅くとも1か月以内には郵送したいものです。しかし、転居の時期が年末や年始に近い時期なら、新年の挨拶となる年賀状で転居報告を兼ねることができます。

逆に、年末近くに転居報告のはがきが届くのは返って失礼に当たります。年賀はがきは全国の郵便局で一斉に11月頃の発売となり、早い人ではまず宛名面を先に手書きしたり印刷したりして準備をする人もいます。その際に、もしすでにポストに投函していたとなれば、住所が違ったことがわかれば、念のためもう一枚新たに作って出すことがあるからです。

もちろん郵便局の転居転送サービスに申し込んでいれば引っ越してから一年間は郵便物を新居に転送してもらえますが、相手はそこまで知る由はありません。また、転居転送サービスの申込みが遅れたり、そもそも申し込んでいなければ、せっかく出してくれた相手にはがきが戻ってしまうことにもなります。

年賀状の時期なら、引っ越す前でも転居の予定があることを知らせて新住所を書いておくと良いでしょう。しかし、転居してから何か月も知らせないといろいろと不都合なことも生じます。あとになってから、とっくに転居していたことを知られるのも気まずいものです。

そのため、年賀状で転居報告をする場合は、引っ越し時期が10月下旬からせいぜい1月下旬ぐらいまでが適していると思います。それなら引っ越し準備や後片付けでバタバタしていたため、転居報告が遅れたことの言い訳になりますし年賀状ですませることは一般的によくあることです。

新築の場合は住所は決まっているので、未完成でも春先までに引っ越す予定なら、年賀状でその旨知らせるのもありでしょう。しかし、せっかくなら近い関係の人には新居が完成して家族と新居が一緒に写っている写真を添えて招待状を兼ねた挨拶状を出した方が喜ばれると思います。

年賀状におすすめの写真

家族で新築の持ち家に住むのなら、家を背景にして玄関前や庭で撮った家族写真がふさわしいと思います。分譲マンションならリビングなどの気に入った場所でも良いし、ベランダから見える素敵な風景をバックに撮るのも良いですね。

持ち家でないし別に披露する必要もないというなら、転居先の観光地や名所で撮った記念撮影の写真でも良いし、地場産業のおいしい名産品の写真で「ぜひ食べに来てください」と付け加えるのも良いでしょう。

転勤や離婚による引っ越しの場合は?

転勤による転居通知は、仕事関係の相手には事前に口頭なりメールなりで転勤の予定がある旨伝えておくことが礼儀です。それもなしにいきなり「転勤しました」では手抜きの印象を受け、相手にとっての関係性の浅さが露呈してあまり気分の良いものではないでしょう。

そんなときでも年賀状でひと言「転勤が決まり近々○○方面に引っ越し予定です」などと書き添えましょう。住む家が決まり、住所や電話番号が正式に決まった時点であらためて転居の挨拶状を出すのがベストです。

離婚や同棲の解消による転居は、年賀状の時期と重なった場合は、年賀状で事実を伝えても構いません。しかし、新年の挨拶が目的である年賀状ですから、賀詞のあとに別離のことを詳しく説明するのがためらわれるでしょう。転居先の住所を記載しておき、簡潔にさり気なく伝えられると良いですね。

おすすめ文例集

年賀状と転居通知を兼ねる場合は、まずメインは新年の挨拶でなければなりません。最初は必ず賀詞から始めるようにします。はがきを使う以上、文章を長々と書き連ねる必要もありません。転居先の住所と電話番号などがしっかりと伝われば十分です。

しかし、それではあまりに事務的過ぎて、年賀状をやり取りする間柄の相手には逆に礼儀を欠いた印象を与えてしまいかねません。知らせる相手が仕事関係か親戚筋か、友人かにより、文面を変えて何パターンか分けて作っても良いですし、全員統一の文面にしてひと言メッセージを手書きで書き分けても良いでしょう。

新年の挨拶の賀詞のあとの文例を紹介します。

仕事関係の相手への文例

「このたび〇〇支店への配属(転勤・異動など)が決まり、◯月より下記住所に転居予定です。
△△支店在勤中はいろいろとお世話になりありがとうございました。
□□方面にお越しの際にはぜひお声がけください。」

「◯◯社に転職が決まり、◯月◯日に下記住所に転居することになりました。
少しだけ遠くなりますが今後とも変わらぬお付き合いのほどお願い申し上げます。」

格別の御厚情を賜り、御指導御鞭撻を、などの堅苦しい言葉は年賀状では不要です。やわらかい文面を心がけてください。逆に、そのような言葉で挨拶しなければならない相手には、正式なビジネス文書の体裁で封書で挨拶状を年賀状とは別に送るべきです。

一般的に広く使える文例

「このたび転居いたしましたので新住所をお知らせします。
近隣へお越しの節はぜひお立ち寄りください。」

「◯月完成の新居で新しい年を迎えます。
近くへお越しの際はぜひお立ち寄りください」

「転勤のため下記住所へ転居することになりました。
落ち着いたらぜひ遊びに来てください。」

「引っ越しすることになりました。
自然が豊かで子育てには最高の環境です。
近くにお出かけの際はお気軽にお立ち寄りください。」

この他にもいろいろと考えられますので、相手に合わせてフォーマル、カジュアル、使い分けてください。

離婚や同棲解消を伝える文面

「一人に戻り再スタートします。」

「独身に戻り新生活を楽しんでいます。」

「旧姓に戻り、子ども二人と暮らしています。」

新年を迎えおめでたい雰囲気のときに「離婚」の言葉を出すのがためらわれるのか、あえて表現を変えてさりげなく伝える風潮があります。言外の意味が伝われば良いですが、さりげなさすぎて表現によってはまったく気づかなかったという人もいるようです。

カジュアルに伝えて良い相手なら「バツイチ」「シングル」の言葉を使っても良いと思います。ただし、あくまでも新年の挨拶が目的なので、別れた相手の恨みつらみを延々と書き綴るのは避けてください。

まとめ

新年の挨拶をメインとするなら、年賀状に付記する形で転居通知をするのはマナー違反には当たりません。しかし、それも時期を考慮する必要があります。春先に引っ越しているのに、それまで何の音沙汰もなく年賀状で引っ越しを知らせるのは非礼になってしまいます。

受け取った側にしてみれば、転居先の近くに用事で出向いたので、もっと早く知らせてくれていれば会えたのに、ということにもなりかねません。とりあえずは簡単で良いので年賀状の時期以外は転居通知を出しておくと安心です。年賀状で転居通知を兼ねてよいのはだいたい引っ越しが10月下旬から1月下旬までの場合と覚えておきましょう。