生活保護の人の引っ越しが認められる条件と手続きの流れ

生活保護の申請が通れば、現在の住まいが住宅扶助の家賃上限額を上回っていれば転居指導が入り、限度額内の家賃の住まいへと引っ越しをすることになります。しかし、その後はどこへも引っ越しができないということはありません。条件次第では転居が認められるケースがあります。その条件と引っ越し手続きの流れについて説明します。

認められる条件について

引っ越しする際にかかる敷金、礼金、火災保険料や引っ越し料金などの諸々の費用が支払われる条件を紹介します。各都道府県、政令指定都市、中核都市など、地域により家賃相場に差があり同居人数によっても基準が異なるため、詳細についてはケースワーカーに尋ねてください。

以下に、厚生労働省が公示する、生活保護受給者が転居を認められるケースについてまとめました。

  1. 病気やケガで入院していたり、社会福祉施設に入っていたが、退所後、住む部屋がない場合
  2. 今までよりも安い家賃の部屋に住む場合
  3. 在職中は社宅住まいだったが、退職により引っ越さなければならない場合
  4. 宿所提供施設、無料低額宿泊所から出て身の回りのことが自分でできると認められた場合
  5. 勤務先が遠く通勤が困難な場合
  6. 火災・老朽・破損・取り壊し・立ち退き等のため現住居に住めなくなった場合
  7. 同居の人数と比べて狭すぎる場合
  8. 病気の療養にふさわしくない環境や、身体障害者用のバリアフリーでない住居の場合
  9. 住むところがないため、親戚、知人宅等に身を寄せていた場合
  10. 離婚や事実婚の解消により住むところがない場合
  11. 高齢者や身体障害者等が介護してくれる身内の近くに引っ越す場合、また介護できる人がいないときに施設に入居する場合

※参考:厚生労働省 社会・援護局保護課「住宅扶助等について」

引っ越しする際の流れ

まずは、生活保護受給者が入居できる部屋を探すことから始まります。住居が確定すれば、引っ越し業者の手配に進みますが、福祉事務所から見積もりを取る業者を指定されることもあるようです。必ずケースワーカーの指導の元、指示に沿った流れで進めてください。

賃貸物件の探し方

公営住宅の空きがあれば良いですが、通院先が遠くバリアフリーの造りでない場合は難しくなる日ともいるでしょう。それぞれに適した賃貸住宅を探す必要があります。しかし、賃貸物件を扱う不動産屋が扱う全ての物件を自由に選べるわけではありません。

賃貸住宅の契約の際は誰でも必ず入居審査があり、不動産管理会社や大家の一定の要件を満たした人でないと入居を断られることがあります。

その要件とは、単身の独身者に限る、子ども不可、外国人不可、ペット禁止、同居不可などは、あらかじめ入居募集要項で提示してありますが、その中に記載はされていなくても生活保護というと、途端に難色を示されることもあります。

地域差もあるとは思いますが、生活保護受給者でも入居可能な物件は、100軒の募集に対して5軒見つかれば良いほうだという話もあります。それぐらい物件探しが厳しいということを念頭に置いておいてください。

数多くの賃貸物件の中から探せば、それだけ入居可能な物件を探しやすくなります。まずはインターネット接続環境のあるパソコンやスマホから、部屋探しができる大手の賃貸情報サイトを見てみましょう。

物件概要の備考欄に、家賃保証会社の利用でフリーターや求職中、生活保護の人でも相談可能としている物件が見つかります。その物件を扱う不動産屋では他の生活保護入居可能の物件を取り扱っているかもしれません。ネットや電話で実際に問い合わせてみると良いでしょう。

その物件を見たいなら、内見の予約をして他にも似た物件がないか探してもらいましょう。すると、他の不動産屋で扱う物件を紹介してもらえます。もしくは、周辺の不動産屋を何件か回って信頼できそうなところにお願いする手もあります。

賃貸物件の承諾をもらい手続きをする

良い部屋が見つかればケースワーカーに伝え、福祉事務所から承諾を得た上で不動産屋と契約手続きに入ります。入居申込金の支払い方法や契約日などを確認します。自治体からの振込となるか、本人が現金で持参するのかはそれぞれ異なるようです。受け取った領収書はケースワーカーに提出します。

引っ越しの手配

引っ越し日を決めたら、引っ越し業者の見積もりを取ります。一番安い業者にするよう指導があるため一括見積もりサイトなどで複数の業者に見積もり書を作ってもらいます。または、役所で引っ越し業者をいくつか指定される場合は、指示に従いましょう。

引っ越し業者が訪問する前に、不用品などのいらないものは極力処分しておきましょう。リサイクル業者に買い取りを依頼したり、粗大ゴミは自治体に引き取りを申し込みます。

引っ越し業者が決まったら、引っ越し料金の支払い方法を確認しケースワーカーに相談します。引っ越し当日に直接現金で渡すか、福祉事務所からの振込などケースによって異なります。

引っ越しの荷造り

無料のダンボールがあれば、本や食器などの重いものは小さいダンボールに、軽い衣類などは大きいダンボールに詰めます。食器や壊れ物は包装紙やクッション材で厚めに保護して包みます。ダンボールには赤いペンで「ワレモノ」と大きく書いておきましょう。

ダンボールに入らない電化製品や家具は梱包する必要はありません。引っ越し業者が当日、厚手のカバーなどで保護をして運んでくれます。布団も当日に布団袋に手早く入れてくれることがほとんどですが、事前に貸し出されている場合は自分で荷造りしましょう。布団を重ねた上から布団袋を逆さにして覆い被せ、そのままひっくり返すと簡単です。

旧居の掃除

出ていくことになる部屋は、できるだけ目立つ汚れを落としておくことで余計な修繕費を支払わずにすみます。引っ越しで出るゴミなどはそのままにしておかず、必ず処分するか引っ越し荷物と一緒に運んでもらうかして、室内を空っぽにしてから退去しましょう。

余分なものを置いたままにしておくと、残置物撤去料を請求され、入居時に預けた敷金から差し引かれてしまいます。住宅扶助額の上限以上は役所から負担されないため、余分な出費はなるべく抑えるよう心がけてください。

まとめ

生活保護でも劣悪な環境の住居からの引っ越しが認められます。特に、低家賃住宅への住み替えは手続きが進めやすいでしょう。生活保護が一時的なものか、年齢や生活保護になった理由などで不動産屋の対応が異なることが考えられますが、昨今は住宅が有り余っている状況のため、誠実な態度を示すことで入居が認められることも多いようです。

外国人可、高齢者可、子ども可、学生可などたくさん列記されていれば、比較的入居条件は緩いと見ることができるでしょう。