引っ越しトラブルで多い荷物紛失や破損があった際の対応方法

引っ越ししてから、あれはどこにやったんだっけ、とあちこちくまなく探しても見つからないものがあることがあります。引っ越しのどさくさに紛れて紛失してしまったのか、どこかの奥にしまい込んで見つからないだけなのか、もしや盗難?などと思い悩む人もいますが、自分の思い違いかもしれないからとなかなか業者への問い合わせも躊躇するようです。

そうならないための予防策や、荷物の破損時の対応方法、トラブルについてまとめました。

荷物紛失や破損があった際の対応方法

引っ越しは何人もの人の手で運ぶものですから、まれに、あったはずの荷物がなくなったり、運んでもらった荷物が壊れていたりということが起こってしまいます。

どこにでも売っているような安価なものならまだしも、高価なものや大切にしているものなら心穏やかに対応するのも難しいかもしれません。しかし、落ち着いて手順に沿った手続きを踏むことが重要です。

早めに業者に連絡

ダンボール数個程度の荷物量なら、中を確認して破損がないか、なくなった箱がないかなどはすぐに気がつけます。しかし、一人暮らしでも荷物量の多い人は20箱使うこともあり、4人家族の引っ越しなら少なくとも50個以上になってしまいます。

引っ越しが終わっても、すぐには使わないからとなかなか荷解きをせず、そのままの状態で長く保管している人もいるようです。しかし、引っ越し後はなるべく早い段階で全ての荷物の状態を確認することが大切です。

荷造りしたダンボールが全て運ばれているか、なくなっているものがないか、壊れたりキズがついたりしているものはないか、住居の壁や床にキズなどがないかなど早いうちに確認してみてください。というのも、国土交通省が引越運送業で使用するサンプルとして提示している標準引越運送約款では、


『(責任の特別消滅事由)第二十五条 荷物の一部の滅失又はき損についての当店の責任は、荷物を引き渡した日から三月以内に通知を発しない限り消滅します。』

という一文があります。これによると、引っ越しが終わって3ヶ月以内に紛失や破損などの届出をしないと、引っ越し業者は弁償する責任がなくなります。3ヶ月も経ってしまうと、引っ越し後に空き巣による盗難があったのか、使っているうちに壊れてしまったのかなど他の事由によるものか引っ越しによるものかの判断が難しくなってしまうためです。

しかも、2ヶ月も3ヶ月も経ってしまうと、その当時のスタッフの記憶も薄れ、別の支店などに異動することも考えられ、問題が有耶無耶になってしまうこともあるため、なるべく早いうちに申告してください。

ちなみに、引っ越し業者が独自に作成した約款を国土交通省が認めていれば、業者独自の約款を守らなければなりません。著しく客の不利になるような約款が認められることはありませんが、もし申告の期限がもっと短く設定してあれば、そちらが有効になります。念のため期日を確認し、間に合うように行動に移しましょう。

紛失や破損があったときの手順や補償

ダンボールを落として食器が割れた音がした、大きな家具を運ぶときに壁紙をこすってしまった、などの引っ越し作業中に起きたトラブルを依頼者が目撃していればすぐに対処ができます。その場でリーダーに報告して事故報告書に記入してもらい、写真を撮るなどして補償手続きが進められます。

破損の補償はどうなるの

一般的には、修理して直す、直らなければ同じものの中古があれば購入する、減価償却を考慮して現金で弁償するなどになるでしょう。金額にもよりますが、保険会社を通さずに社内で対応することもありますし、補償面の詰めた話に進むと保険会社と直接やり取りすることもあります。

しかし、これはあくまでも引っ越し業者側がミスを認めた場合です。その現場を目撃していなかった、かなり日数が経過してしまった、となると申告した側が不利になってきます。荷解きをしたあと、使用中に壊れたのではないかと思われてしまうためです。

このように壊れ物に関してはいち早く確認することが大切です。ダンボールにぶつけたり凹んだりした跡があれば写真に撮ってそのまま残しておきましょう。

紛失は「あった」ことを証明するのが難しい

一番厄介なのが紛失の場合です。本当に引っ越し作業中になくなったのか、悪意のある第三者による盗難ではないか、荷主の記憶違いということはないか、そもそも本当にあったものなのか、などあらぬ疑いをかけられて気分を害する人も多いようです。

紛失した物は、実際にあったことを証明するのは至難の業です。念のため高価なものや大切なものはできるだけ自分で運ぶか、購入当時のレシートや保証書、取扱説明書などを残しておきましょう。

苦情ではなく問い合わせという形で、クレーマーと思われないためにも、感情的にならずに落ち着いたトーンで話し合いましょう。受付担当者では話にならないと思ったら、業者の代表者に代わってもらってください。その対応次第で責任に対する業者の姿勢や方針などが分かります。埒が明かないと思うなら、しかるべき窓口へ相談しましょう。

トラブルになった際の相談窓口

国民生活センターや自治体の消費生活センター、地域の運輸支局や都道府県のトラック協会でも相談窓口を設置しているところがあります。過去の多くのトラブル事例などから、今後の対処法について無料で相談に乗ってもらえます。

紛失や破損の予防と対策

荷造りをして最終的にダンボールが何箱になったか、すぐに総数を答えられる人はどれくらいいるでしょうか。これが言えないと、ダンボールが一箱ないといくら主張してもあまり説得力はないですね。そうならないためにも、誰もが分かる方法で証拠を残しておきましょう。

ダンボールに連番を振るのは有効

ダンボールに1から順番に連番で数字を書いておくことです。間の数字を飛ばさないように気をつけてください。上でも側面でも、両方でも、自分が見やすく確認しやすいと思った位置に書きましょう。

これなら、ない数字があれば紛失したことにすぐに気付けます。前後の数字を振った箱の中身を確認することで、ない数字の内容物も思い出せるでしょう。もっとしっかり対策したいなら、ダンボールのフタを閉じる前に何が入っているかわかるように写真を撮るか、リストに書き出しておくことです。

ダンボールを開封されるのが心配な人は

ダンボールは全て揃っていても、中に入れた物がなくなっていれば気が付かないのでは、と心配な人は、フタを閉じたガムテープにかかるように、部屋の行き先や内容物を大きく書くことです。

これならガムテープを剥がして同じように閉じても、文字にズレがあれば一度開封したと分かります。というかそんな状態ではわざわざガムテープをはがそうとは思わないため、抑止効果をねらったものです。

内容を記す際にも一工夫

ダンボールに書く文字は、新居の部屋名や、内容物、ワレモノ、連番などですが、まさか内容物を記すために「宝石」や「高級腕時計」などとは書きませんよね。

そもそも、高価な貴重品は引っ越し業者は荷物の引き受けを拒絶することができ、補償の対象外となるため自分で運ぶべきものです。高価でなくても盗難が心配なものなら、内容物は自分だけに分かる方法で書くようにしましょう。

壊れないように念入りな保護を

特別なときに使いたいセットものの食器は1枚でも割れてしまうとガッカリですよね。割れ物の包み方を参考にして、プチプチの気泡緩衝材などを利用して丁寧に梱包しましょう。手荒に扱われても割れないように頑丈に保護しておくことです。

悪質なケースでは、梱包の仕方がまずいから壊れたのでは、などと言い掛かりを付けられることもあると聞きます。大切なものは念入りに自分で保護しておきましょう。また、赤いマジックで大きく「ワレモノ」と書いたり、「取扱注意」のシールを貼ったりして予防してください。

引っ越しで多いトラブルまとめ

荷物の紛失や破損に関すること以外にもトラブルは起こることがあります。国民生活センターに多く寄せられたトラブル事例を紹介します。

業者が時間通りに来ない

相談事例の中でも多いトラブルが引っ越し業者が予約した時間通りに来ないというものです。まず、疑問に思ったときには見積書や契約書の内容をよく確認してください。

自分の思い違いということがないか、見積書を作成してもらったときに他に口頭で説明されたことがなかったかなどについて思い出してみましょう。確認した上で、やはりおかしい、遅すぎると思ったら電話をして確認してください。引っ越し業者が時間通りに来るのは、朝一番から始まる引っ越しだけです。その場合には、朝8時半や9時開始と確定した時間が書き込まれているでしょう。

しかし、午後便や業者の都合に合わせて開始するフリー便なら開始の時間は指定できません。いくら午後から、夕方からとはいっても、その前によその引っ越しをすませないことには次に向かうことはできませんから前もって何時からという確約はできないのです。

朝一番からの引っ越しで時間通りに始まらないのは不安になりますね。少しの遅刻なら途中で交通渋滞か何かで遅れているのだろうと待てますが、これが30分や1時間も連絡なしで遅れるということはあり得ません。何か行き違いがないか早急に確認すべきです。

トラックにすべての荷物が積みきれなかった

用意されたトラックでは荷物が載せきれず、全部を運んでほしければ追加料金がかかると言われてしまったという事例があります。どこよりも安い見積もり料金を提示するためにトラックのサイズを1段階下げたのか、見積もりに不慣れで荷物量を見誤ったのかもしれません。

他の引っ越し業者がこれよりも大きなトラックを予定していたとなれば、これは明らかに見積もり担当者の判断ミスと言えるでしょう。

または、積み切りプランや大物限定というプランだったということはないでしょうか。よく見ると、見積書に積み切りや大物限定という言葉が書かれていたとしても、見積もり時にそのプランの詳しい内容を説明しなければ依頼者にはわかりません。そんなことからトラブルになりやすいのです。

積み切りや大物限定というのは、トラックに詰め込めるだけのものを運んでもらうというプランです。通常は大型家具や大きな電化製品をメインに積んでいき、残りのダンボールや小物は自分たちで運ぶという、少しでも安く引っ越したい人たちに適したプランです。

しかし、そんな説明もないままでは全てを運んでもらえると思って当然です。このような確認不足や説明不足、また双方の認識の違いなどからトラブルに発展してしまいます。見積書を目の前で作ってもらっているときには理解したつもりでいても、あとからじっくり内容を見返してみると、よくわからないということもあるでしょう。

わからないままで各社の見積もり金額の合計だけを見て、安い業者に決めるのはおすすめできません。必ず内容やわからない言葉を把握した上でサービスの内容やオプションの適用など、総合的に判断して比較することが大切です。

荷物紛失や破損などのトラブルは、自分で予防することによりある程度防ぐことができます。また、見積書を作ってもらう時点でわからないことはそのままにせず、積極的に質問してください。そのときの対応の善し悪しが業者を選ぶ基準になるかもしれませんし、それが後のトラブルを防ぐ秘訣でもあります。