長距離の引っ越し料金を安くする混載便のデメリットは?

引っ越し料金は、荷物の量と移動距離によって運賃が決まります。当然、荷物が多く長距離になればなるほど引っ越し料金は高くなってしまいます。しかし、長距離の引っ越しも工夫次第で安くすることができます。

そんな引っ越しのひとつが混載便です。混載便は安いのはいいのですが、利用のしかたによってはデメリットになることがあります。申し込む際は下記の注意点をよく理解した上で検討してみてください。

長距離の引っ越しで人気の混載便

同じ方面の別の引っ越しの荷物を数軒分まとめて大きいトラックで運べば、高速道路代やガソリン代を何人かで負担するため、実費が安くなります。このような引っ越しを「混載便」と呼びます。業者により、あいのり便や割り勘便と名付けているところもあります。

長距離引っ越しの混載便のメリットは、1軒の引っ越しにトラックを貸し切る標準の直行便と比べて安くできることです。その最たるものが、定額料金制の単身パックと呼ばれるもので、決められた大きさのカーゴに荷物を詰めて、一度に大きなトラックでまとめて運んだり宅配荷物と混載したりして輸送します。幹線輸送ルートを持つ大手の強みと言えます。

デメリット

何ごとにも当てはまることですが、一長一短、メリットがあればその分デメリットもあるものです。混載便を利用するにもデメリットや注意点がいくつかあります。

タイミングによっては利用できない

引っ越し専業業者の混載便を依頼する場合、引っ越し希望日の近い日に同じ方面に引っ越しをする他の世帯がいないことには、そもそも混載便として機能しません。依頼があるか分からない他の引っ越しを待ち続けて自分の引っ越し日を決めるのもおかしな話です。それまで賃貸の解約も荷造りも中途半端になってしまう恐れがあります。

自分の思い通りのスケジュールにならない

通常プランの引っ越しなら1軒分の荷物をトラックに載せれば引っ越し先に向けてすぐ移動できますが、混載便の場合はそうはなりません。

続けて直後に他の引っ越しの荷物を積んで出発できれば効率的ですが、間に1日や2日挟んでしまうこともあり、荷物を運び出してから新居に到着するまでにかなりの日数がかかってしまうことがあります。その間は、不自由な生活になってしまうことが考えられます。

荷物に関する注意点

何軒かの家族の引っ越し荷物を積んで移動するには大きなトラックが必要です。しかし、荷物の積み込みの際に、一般道で交通誘導員も付けずそんな大きなトラックを長時間停めて作業するわけにはいきません。また、細い路地では玄関前までトラックが侵入できません。

そのため、荷物が載せられる程度のトラックが来て荷物を積み込んでから、大きなトラックに荷物を載せ替えることになります。また、引っ越し先近くで同様に大きなトラックから小さめのトラックに積み替えてそれぞれの住居に向かうことになります。

そのため、通常の引っ越しプランよりは、荷物を移動する回数がどうしても増えてしまいます。ということは、荷物を破損する確率もその分上がってしまうのはやむを得ません。万一荷物の破損があった場合は、基本的に修理対応になります。

修理が無理な場合に限り代替品を用意するか、賠償金が支払われるでしょう。しかし、荷物の単価にもよりますが、そっくり同じものの新品に交換されることはほぼありません。

荷物が行方不明になることがまれにある

家族世帯と単身世帯の混載では小さめのトラック一台ですむ場合もあります。きちんと、各世帯の荷物の間に仕切りなどで分けたり目印をつけたりして、荷物が紛れることはないように予防をしていても、何かの拍子に紛れてしまうことがないとはいえません。

お互いの世帯で荷物の誤配に気がついて、両家が引っ越し業者に連絡を入れてあれば発見されることが多いです。しかし、そうでない場合は、単に誤配か紛失か盗難か判然としないため厄介です。

料金相場

一般的な説明では、混載便を利用した引っ越し料金は、1軒単位で引っ越しを行う通常プランで100,000円の場合、20,000円から30,000円程度安くなると紹介されています。距離が長くなるほど、また、荷物量が多いほど引っ越し料金は高くなるため、混載便を使った場合の差額は大きくなり、さらにお得感を感じることでしょう。

混載便を利用する際の注意点

注意点としては、デメリットになる部分をどうカバーするか、ということになるでしょう。また、デメリット以外の他の面についても紹介します。

荷物の補償内容を確認する

引っ越し業者では、必ず損害保険会社が提供する「運送業者貨物賠償責任保険」に加入しています。これは、引き受けた荷物に万一の事故があった際の補償や、運送中の第三者との事故による賠償責任や、トラックの衝突事故などをカバーできる保険です。

さまざまなオプションもあり、引っ越し業者の規模や扱うサービス内容によって、補償上限額や補償内容が異なります。高価な荷物や大切なものがある場合は、引っ越し業者の補償内容次第では、個人で引越荷物運送保険に加入するなどして対策しなければなりません。

荷物の誤配を防ぐ

混載便に載せる他の世帯が同じ引っ越し業者の同じダンボールを使用していたのでは、うっかりミスが起こらないとは断言できません。使うガムテープを珍しい色にしてみたり、目印となるマークを目立つように書いたりシールを貼ったりすることで予防になります。

家具も、養生テープなどの剥がしても糊残りのないテープやシールに名前を書いて貼るのも有効です。その際は、運ぶ際に手をかける位置を避けて、剥がれないような目立つ場所に貼りましょう。

混載便を利用できない人もいる

家族の人数が多く、荷物量が多い人は混載便の利用を断られることがあります。そのような引っ越しの訪問見積もり時には、そもそも混載便の提案はしません。最初から大きめのトラックが必要になるか、2台のトラックで対応することになるからです。荷物量が多いのでは、載せ替えするにも労力がかかり過ぎてしまいます。

荷物の到着が遅れる

身の回りのものをある程度自分で引っ越し先に運べるなら良いですが、そうでない場合は、新居に着いても一切の家財がないのでは寝ることもできません。カーテンが付けられず雨戸やシャッターがないと、夜は室内で明かりを点けると外から丸見えです。

引っ越し先の近くに頼れる身内や親戚がいれば問題ありませんが、どこもなければホテルなどの宿泊施設を利用することになるかもしれません。これでは、混載便で引っ越し料金が安くなったとしても、余計な出費がかかってしまいます。

引っ越し業者別の混載便の特徴

遠くに荷物を運ぶトラックは、軽トラックのような小さなサイズで少量の荷物を運ぶのは交通費ばかりが高くついてしまい割に合いません。そのため大きなトラックで荷物をできるだけ多く載せて安い輸送料で提供することにより需要も高まります。

ところが地域密着業者などの小規模業者では大きなトラックを所有していなければ混載便のサービスがなかったり、仮にあったとしても帰りに空のトラックで戻る際に復路の交通費も掛かることがあるため要注意です。下記に主な引っ越し業者の混載便を紹介します。

サカイ引越センター

単身パックや混載便にあたるプランが「ご一緒便コース」です。荷物の到着がいつになっても構わないという荷物が少量の人に向いている引っ越しです。

荷物量が少ないのに長距離の引っ越しは料金が高くなりがちですが、少しでも安く遠くに運んでほしい場合は検討してみてください。ただし、予約でいっぱいで満載になったときは、予約を制限されることがあります。

カルガモ引越センター

荷物の少ない単身引っ越しのための「単身引っ越し混載便」があります。同方面の他の単身引っ越しとの積み合わせにより、格安料金での引っ越しができます。目安としては通常料金の60%程度の料金になるためお得感があります。しかし、首都圏から全国への単身引っ越し限定となるようです。利用の際はよく確かめましょう。

日本通運

カーゴを利用する日通の単身パックは、さまざまな大きさがあるためベッドや自転車などの大きめの荷物がある場合でも安心して運んでもらえます。料金もリーズナブルで明確、訪問見積もりが不要の定額制のためパソコンやスマホからWEB予約もできます。ただし、運ぶエリアに制限があるため利用の際には注意が必要です。

まとめ

混載便は、遠くの一人暮らしを解消して実家に戻る場合、引っ越しの途中で観光をしながら何日かかけて移動する場合、など日程に余裕がある人向きの引っ越しプランです。通常の長距離引っ越しは2日や3日がかりになることも多く、混載便はそれにプラスしてさらに日数がかかることを覚悟しましょう。

引っ越し業者によっては2週間程度見てください、と案内されていることもあります。さまざまな業者の中から自分に適した混載便を選びたいと思うなら、引っ越し一括見積もりサイトを利用するのがおすすめです。