灯油は使い切れ!石油ストーブや石油ファンヒーターの引っ越し

引っ越しでは石油ストーブや石油ファンヒーターを運んでもらえますが、中に入っている灯油は運んでもらえません。同様に中身が入っている灯油のポリタンクも運んでもらえません。自分の車で運ぶか、中の灯油を空にする必要があります。

国土交通省の告示する標準引越運送約款でも、火薬類や危険物などの荷物に損害を及ぼす恐れのあるものは、引っ越し運送の引き受けを拒絶することができると明記されています。

石油ストーブを運んでもらうには

事前にタンクの灯油を空にすれば石油ストーブは引っ越し業者に運んでもらえます。でも、中の灯油を空にするとはいっても、その辺に無造作に勝手に捨てるわけにはいきません。灯油の処分の方法について説明します。

使い切るのが一番

灯油の処分は石油ストーブをつけて灯油が空っぽになるまで使い切ってしまうのが一番です。夏は暑く石油ストーブをつけることなんて考えもつきませんが、窓を開け換気を良くし、燃やしきることが一番手間がかからず楽な方法です。

ただし、ストーブをつけている最中は、必ず目の届くところに置いておきましょう。窓を開けて風が入り、部屋の中のものが飛ばされてストーブに近づかないとも限りません。思わぬ火災事故を防ぐためにもくれぐれも安全な場所で使うようにしましょう。

中に灯油が大量にあり、使い切るのにかなりの時間を費やすような場合は、引っ越しが迫っているのであれば石油ストーブの灯油タンクからポリタンクに戻しましょう。
灯油を補給した時とは逆の要領で、石油ポンプを使って灯油タンクからポリタンクの中へ戻します。

でも灯油が入ったポリタンクは、引っ越し業者では引き受けてはもらえません。仲の良いご近所さんがいれば、「これ、余ったから使って」とポリタンクごと譲ってしまいましょう。

また、廃油処理のできるガソリンスタンドで処分をしてくれることがあります。セルフではなくフルサービスのガソリンスタンドに処分が可能かどうかを問い合わせてみてください。

不法投棄は絶対にダメ

少しぐらい、と余った灯油を、道路の側溝や自宅の流し台やトイレに絶対に流さないでください。下水道管のつながる周辺の住宅にも多大な被害を与えることになってしまいます。

下水道へ灯油やガソリンなどの危険物を流すと、下水道管の中で揮発し、引火すると爆発事故が起こり、下水道施設に莫大な被害が及ぶことがあります。

川へ流れる道路の排水溝に灯油などを流した場合、そこに生息する生き物に被害が及びます。また河川や海に流れた油類を除去するために多額の費用がかかります。

まして、下水処理施設の生物処理機能を損傷してしまった場合には、下水処理の機能を損なうことになり、修繕費用が必要になります。

下水道管の清掃が必要になると、作業のために道路を通行止めにする必要があり、交通の妨げになってとんでもなく広範囲に影響が及ぶことになってしまいます。

このような大事になった場合に、下水道法と河川法に基づき、灯油を流した人に、5年以下の懲役又は一千万円以下の罰金が科せられることになってしまいます。決して軽く考えずに正しい処分を行いましょう。

石油ストーブにまだ灯油が残っている

石油の内蔵の灯油タンクからは灯油を抜いたけれど、タンクから流れ出た灯油がストーブの内部に残っていることがあります。この際も、なるべく灯油の残りをなくす努力をして、漏れ出して家財を汚すことがないようにしましょう。

換気を良くして空焚き

中に少量残っている灯油を使い切るには、灯油タンクを抜いた状態で空焚きするのが基本です。
不完全燃焼とならないように、必ず換気の良い部屋で燃焼させましょう。灯油がなくなり燃やせなくなると電源が切れます。自動で消火できないものは電源をオフにしましょう。

受け皿を空にする

受け皿に少量残った灯油を完全に燃焼させることができたら、ボロ雑巾や新聞紙で受け皿を拭き取ります。

給油口に詰め物をする

その後、給油口にボロ布やキッチンペーパーなどを詰め、ほんの少し残っている灯油が逆流してこないようにしておきます。

乾電池を取り外し、灯油タンクを戻し、大容量のゴミ袋や大きいビニール袋ですっぽり覆ってしまいましょう。これで少量の灯油が揺れて少しずつにじみ出てしまったとしても大丈夫です。

石油ストーブを運ぶ前に確認しておこう

せっかく正しく処理をして運んでもらったのに、実は転居先のマンションの入居規約では石油ストーブの使用が禁止されていた、なんてこともありえます。

灯油を燃焼させる危険性ももちろんですが、気密性の高いマンションでは、石油ストーブが冬季の結露発生の原因になるとして、石油ストーブの持ち込みを厳禁とするケースが最近増えつつあります。

大家さんの方針で、一戸建てでも石油ストーブの使用を禁止されていることもあるかもしれません。そうとは知らず、引っ越して石油ストーブを搬入するところをマンションの住人が目撃していないとも限りません。最初から悪い評判が立ってしまうと、この先の近所付き合いが思いやられます。

ちなみにガスストーブも燃焼系の暖房器具は、水蒸気が発生するので結露の原因になります。今一度、賃貸契約時に渡された入居規約を確認しておくに越したことはありません。

そういう住居ではエアコンをメインの暖房器具として使い、補助的に電気ファンヒーターや、こたつや電気カーペットを使うことになると思います。

まとめ

引っ越しが近づいたら週間の天気予報などを見るようにして、余分に灯油を買い過ぎないように心がけましょう。

そして、なるべくポリタンクに次のシーズンまで灯油を残さずに、冬のうちに使い切ってしまいましょう。ご近所にお裾分けするにしても、夏場にもらっても困る場合もあるでしょうから、かえって迷惑になるようならガソリンスタンドに持参して引き取ってもらったほうが良いでしょう。