同じ市内(近距離)へ引っ越す場合の費用相場と安くするコツ

今住んでいる場所から近くに引っ越すケースはどういった状況が考えられるでしょうか。進学や就職のためにわざわざ実家から近い場所に住むこともないため、賃貸物件の契約更新時や手狭になったための住み替えということではないかと思います。

ここでは、建て替えプランや結婚などの2箇所立ち寄りプランではなく、住み替えのための近距離引っ越しについて説明します。

引っ越しする際の費用相場と注意点

体力低下やケガなどを理由に、エレベーターのあるマンションやバリアフリーの物件に転居することがあります。また、古いアパートの取り壊しのための立ち退きや、今より条件の良い物件が見つかったため引っ越す人もいるでしょう。

通勤や通学、生活に便利な土地を選んだ人は、近い距離で物件を選ぶことが多いです。このような近距離の引っ越しだと人手があれば自分たちで引っ越しができないかと考える人もいます。実際に引っ越し業者に頼んだ場合の費用相場はどうなっているか確かめた上で計画してみましょう。

同じ市内に引っ越しする場合の費用相場

単身荷物少量 単身荷物大量 2人家族 3人家族 4人家族 5人家族以上
30,000円 40,000円 70,000円 90,000円 120,000円 140,000円

上の表は10km前後離れた同一市区町村内の引っ越しを想定した参考料金です。たとえば3人家族でも、うちは荷物量が多いと思うなら4人家族の料金を参考にしてください。引っ越しが全国的に混み合う3月中旬から4月上旬までは相場が2倍程度に跳ね上がることがありますが、その期間でも曜日や時間帯を選べば少しは安くなることがあります。

また、ピアノや大型ドラム式洗濯乾燥機などの重量物があれば、搬出と搬入の際にクレーン車の吊り上げ作業が必要になればその分の費用も加算されます。他に、玄関先までトラックが付けられるか、階段作業での大型家財の有無などそれぞれの条件下で料金が変わってきますので、表中の参考料金はあくまでも目安程度に考えてください。

自力引っ越しは意外とお金がかかる

近距離の引っ越しでダンボールがほんの数個程度、家具もカラーボックス程度の大きさ、手伝ってくれる身内がいる、ほとんどは新居で買い揃えることになる、というなら自力引っ越しはありでしょう。しかし、それ以外の場合は、引っ越し料金を節約したつもりがそうならないことも往々にしてあるものです。

その都度お金がかかることになる

近距離とはいえ、引っ越しは荷物を運ぶための車が必要です。普通サイズのダンボール程度なら少しずつ自家用車に載せて往復して運ぶこともできるかもしれません。しかし、4人家族の一般的な引っ越しで使うダンボールの個数は80個程度にはなります。

何日かに分けて少しずつ運ぶこともできますが、そのために旧居と新居の両方の家賃を払うことになるのでは節約にはなりませんし、その間の生活にも支障があります。

そして、80個ものダンボールを一体どこで入手するかが問題です。引っ越し業者に引っ越しを頼めば無料のダンボールがもらえますが、そうでないときは自分で買い揃えるか、少しずつ近隣の店舗で譲ってもらうにしても運ぶのも大変そうです。

近距離なのですから、引っ越しは一気に一日ですませたいですね。自分で引っ越しをやるからには、荷物が載せられる大きめの車両が必要です。単身なら軽トラック、家族の引っ越しなら軽トラで何往復かするか、2トントラックをレンタルするかになるでしょう。

トラックのレンタル料金とガソリン代と、オプションの台車やロープやシートが必要になります。トラックの荷台に大型の家財を載せるのもかなりの重労働ですから、少なくとも大人3人の手は必要でしょう。荷台に荷物が載せやすい昇降機付きで、雨が降っても安心なアルミバンの2トントラックを借りると12時間あたり15,000円前後です。

自分たちで行う引っ越しは車両代やガソリン代や資材費だけではありません。慣れない重労働を頼んだ手伝いの人にもそれ相当の謝礼は必要です。若い男性を頼むなら、荷物量も少ない単身の引っ越しの場合、夕食やお酒を御馳走するだけですむかもしれませんが、家族の引っ越しの手伝いとなるとそうもいかないでしょう。

家族用の家電なら大型で重いものが多く、狭い階段や通路を家電や建物にキズをつけないように運ぶのはかなり神経を使いますし疲れます。そのため各人に負担がないように大勢に頼むとなると、その分の謝礼も多く必要です。

自力引っ越しは万一の際の補償がない

今どき家族世帯の引っ越しを業者を使わず自分たちで引っ越しを行う光景は見たことがありません。マンションに引っ越すにしても、エントランスやエレベーターなどは荷物でキズをつけないように、しっかりとした保護材で養生しないといけない決まりになっていることがほとんどです。

一戸建てへの引っ越しにしても壁や床や柱の養生は必須です。引っ越しの養生資材は個人でも購入できますが、たった1回や2回の引っ越しのためにそこまで準備するのは割に合いません。

運ぶ際に重い荷物を落として壊れるのは我慢するにしても、建物をキズつけたら間違いなく修繕費がかかります。そこまでのリスクを負って自分たちでやるより、プロの引っ越し業者に任せた方が何かと安心なのが分かっているから、自力引っ越しという選択肢は端からないのだと思います。

同じ市内へ引っ越しする際のポイント

同一の市区町村内の引っ越しなら、距離が短いため引っ越し費用も他の都道府県などに引っ越すよりはかなり安くなっています。しかし、引っ越し業者の言い値で依頼するのは失敗の元です。工夫次第でもっと安くできるかもしれないコツを紹介します。

引っ越し業者の料金を比較する

近距離の引っ越しなら、移動より荷物を手運びすることに時間を費やすことになります。その時間が短いほど、つまり全体の荷物量が少なければ引っ越し料金は安くできます。不用品まで運ばないように、しっかりと処分してから荷造りしましょう。

しかも荷物が少ないなら、朝一番からの引っ越しではなく、午後から取り掛かってもその日のうちに終わります。朝一番の引っ越しは決まった時間に始まり、午後から始まる引っ越しは朝の引っ越しが終わってから始まることになるため、直前にならないと開始時間が読めません。そのため、多くの人は朝から始まる引っ越しを選びたがります。

しかし、夕方前の明るい時間にその日の作業が終わってしまっては、引っ越し業者としても儲けになりません。そのため、空いている午後の時間帯にもう一軒の引っ越しがうまく契約できるようにスケジュールを組みたがります。そのため、多少値引きをしても午後の引っ越しの受注を取るために、安い引っ越しができるわけです。

ただし、安くできるかどうかはタイミング次第でもあります。引っ越しの一括見積もりサイトを利用すれば数多くの引っ越し業者の概算の見積もり額が分かるため、かなり安くなる業者に出会える可能性は高くなります。

それぞれのサービス内容や料金を比較して最安値の業者に依頼しても良いし、自分が本命とする業者に頼みたければ、その最安値の見積もり額を提示して値引き交渉の材料にすることができます。いずれを選ぶにしろ、最安値に近い費用で引っ越しができるでしょう。

大きな家具や家電だけを業者に依頼

大きな家具がわずかにあり、他はほとんど小さい荷物で自分で運ぶことができるなら、引っ越し業者に大物家具や大型家電だけを運んでもらう方法もあります。家具1点だけから依頼することができ、室内からの運び出しと運搬、引っ越し先の室内への設置までトータルでやってもらえます。

業者により洗濯機のホースの接続などで別料金がかかることがありますので、これも複数の業者の料金を比較してみた方が失敗がないでしょう。

そんなときも一括見積もりサイトで家具1点からの引っ越しに対応している業者を探すことができます。しかし、いくら安いからといっても、大型家財がいくつもあるのならまとめて引っ越しをした方が安くなることもあるため注意が必要です。それぞれの方法でどちらがどれだけ安くなるか見積もりを取ってみると良いでしょう。

まとめ

近距離で荷物が少量なら自力引っ越しもありと説明しましたが、実はその程度の引っ越しなら1万円台からの定額料金制の単身パックを利用できます。このように自力引っ越しも、引っ越し業者に頼むのでも、あまり料金的には大差ありません。

自力引っ越しで怖いのは、家財や建物のキズや破損よりも、むしろケガでしょう。引っ越し費用を安く節約しようと思って実行しても、ケガのために通院や入院のための医療費がかかるし、勤務先やバイト先を休むことになるのでは、ちっとも節約したことになりません。

ケガするのが自分ならまだ良いとして、手伝いを頼んだ人がケガをした場合は、治療費とお見舞金も必要になるでしょう。そんなリスクも踏まえて、一度引っ越し業者の見積もりを取ってみることをおすすめします。

※文中の料金例は2017年10月19日時点のものです。