カーペットや絨毯のコーヒーなど汚れを落とす染み抜き方法

賃貸住宅では、階下への防音対策や床の保護のためにカーペットを敷き詰めた部屋があります。賃貸契約を解除して退居の際には、汚れや染みなどはできるだけ落としておかないと、クリーニング費用や交換費用を請求されてしまうかもしれません。

汚したらすぐに応急処置をするのが一番ですが、うっかり気づかないうちに染みを付けている場合もあるでしょう。引っ越し前の染み抜きについて説明します。

カーペットの染み抜き

こぼしたものが吸収されてあっという間に染まっていくのを見るのは心臓に悪いですよね。淡い色のカーペットならなおさらです。カーペットや絨毯のあちこちに染みがあるだけでみすぼらしく見えてしまいます。家庭で丸洗いすることもできないので、汚れた部分だけ染み抜きしましょう。

古い染みの原因を探る

染みは、大きく分けて水溶性、油溶性、泥汚れなどその他の染みの3種類に分かれます。それぞれに落とし方が異なるので、記憶を総動員して何の染みなのかを推理してください。

家族の食卓の座る場所が決まっていれば、お父さんが飲んだコーヒー、子どもがこぼした牛乳など、判断できるかもしれません。こぼしたものがわかれば下記に説明する方法で染み抜きを試してみてください。

何年も住んだ部屋を退去するなら、何の染みかわからないということも大いにあるでしょう。そんなときは、ぬるま湯に浸した布を絞って、染みの部分を軽くこすってみてください。布に汚れが移るようなら、水溶性の染みであることがわかります。

そうでない場合は、油溶性かその他の染みということになるので、古歯ブラシなどで汚れを浮かせるようにかき出します。汚れのかたまりがポロポロと落ちてきたら掃除機などで取り除いてください。その後、油溶性の汚れの落とし方を参考にしてください。その他の染みの場合は、塩素系でなく色柄もの専用の酸素系漂白剤を使う方法もあります。

他にマニキュアの除光液や、重曹、セスキ炭酸ソーダ、オキシドール、アンモニア、お酢、などを使用した染み抜き方法もありますが、カーペットの素材や加工方法によっては繊維を傷めたり変色することがありますので、必ず目立たない場所で問題がないかどうかを試してから作業することをおすすめします。

もしくは、宿泊施設などで使用される業務用の万能シミ汚れ落としクリーナー スプレーなどを使ってみるのも良いでしょう。内容量により値段はさまざまですが、500円から2,000円程度で入手できます。

水溶性油溶性に限らずカーペットや絨毯の他、ソファ、マット、壁紙クロスなどの染みや汚れに対応しているので、自分の持ち物にも使えます。様々な製品が出ていますので、レビューなどを参考に使えそうなものを選ぶと良いでしょう。

コーヒーやしょう油などの水溶性の染み

他に、紅茶やジュース、ソースなどにも応用ができる染み抜き方法です。こぼした直後なら、まずタオルやティッシュなどで、できるだけ水分を吸収します。染みが広がらないように外側から中心に向かって叩かずに吸い取りましょう。

その後、食器用の中性洗剤をぬるま湯に溶かした洗剤液に布を浸して軽く絞り、叩き拭きします。布に汚れが移ったら、他の面に変え何度かくり返しましょう。その後、きれいにすすいだ布ですすぎ拭きをして、洗剤分を落とします。その後は、乾いた布で水分を取り除くか、冷風のドライヤーなどを当てたりしてなるべく早めに乾かしましょう。

牛乳やヨーグルト、卵など

動物性蛋白質を含む牛乳などの乳製品は時間が経つと黄色や茶色の染みになり、異臭の元になってしまいます。ヨーグルトや卵は固形分をすくい取り、水分は布やティッシュ、トイレットペーパーなどで吸い取ります。

動物性蛋白質は、熱いお湯を使うと固まってしまうため気を付けましょう。食器用洗剤をぬるま湯か水で薄めた洗剤液に布に染み込ませ、汚れの周囲から中央に向けて、叩きながら拭き取ります。きれいな水を含ませた布やティッシュですすぎ拭きをしたあと、かたく絞った布で洗剤分と水分を拭き取ってください。

ニオイ発生の予防に重曹を振りかけて汚れに含まれたニオイの元を重曹に吸着させ、乾いてから、掃除機で吸い取る方法もあります。

ケチャップやマヨネーズ、油性インクなどの油溶性の染み

ケチャップやマヨネーズ、バターやドレッシングなどの油性の汚れの染み抜きは、まず固形部分をスプーンやヘラでなるべくすくい取るようにします。その後、ティッシュやトイレットペーパーなどに汚れを吸い取らせます。

ベンジンを少量きれいな布に染み込ませ、汚れの周囲から中心に向かって叩きながら拭き取ります。ベンジンとは原油を精製した揮発性の高い液体です。昔から丸洗いできない着物の染み抜きなどで重宝されています。

100mlの小瓶なら200円前後でドラッグストアで売られていますので、染み抜きする機会が多い家庭なら一本備えておくと便利です。ベンジンを使う際は一切の火気厳禁です。食器用中性洗剤の洗剤液に浸した布を軽く絞り、汚れの周囲から中心に向かって叩きながら拭き取ります。

きれいな水を染み込ませたティッシュですすぎ拭きをしたあと、かたく絞った布で洗剤が残らないように仕上げ拭きをします。

泥汚れ

スプーンやヘラなどを使い、できるだけ泥を取り除きます。ドライヤーなどの冷風を使い泥水を乾燥させてください。完全に乾いたら、柔らかいブラシやたわしで土をほぐすようにブラッシングし、掃除機で吸い取ります。

染みが残っているようなら、毛足の長いカーペットや絨毯は、中性洗剤をぬるま湯で溶かした洗剤液に浸した古歯ブラシでこすり洗いします。毛足が短いものなら、洗剤液を浸した布で拭き上げた後、きれいな水ですすいだ布ですすぎ拭きをしてから、乾いた布で水分を拭き、完全に乾燥させます。

気をつけたい注意点

漂白剤を使うのは変色や変質の原因になり、かえってそこだけが目立ってしまうこともあります。洗剤も種類により強い洗浄成分を持つものがあり、カーペットや絨毯の素材によっては傷めてしまうこともあります。まずは規定量よりも薄めてから少しずつ使用してください。

どうしても落ちない汚れは、自分でクリーニング業者を手配して頼むには及びません。以前の住人が付けた染みか判断できない場合もあるからです。落ちる汚れは取り除いて、あとは不動産屋や大家の判断に委ねるしかありません。

しかし、カーペットや絨毯を交換することになっても、全額入居者の負担となることはありません。もし、高額な交換費用やクリーニング代を請求されたときは、国民生活センターや自治体の消費生活センターなどの相談窓口で相談してください。

まとめ

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、手入れ不足で生じた染みやカビの除去は入居者の負担により実施するのが妥当という一文もあり、いずれにしろ、汚したときにすぐに対処することが大切です。

時間の経った頑固な染みや、何種類もの染みがたくさんあるようなら、業務用の薬剤などを試しても良いと思いますが、一本では足らずに何本も購入する必要があるなら、そこまではすることはありません。せっかく試してみても長く住んでいたのならカーペット丸ごと交換になることもあるからです。臨機応変に対処してください。